DEX(分散型取引所)は中央集権型取引所からシェアを奪っている:シティ

DEX(分散型暗号資産取引所)はこの2年、CEX(中央集権型暗号資産取引所)を上回る成長を見せていると、シティグループは9月29日のレポートで述べた。両者の差は、中央集権型取引所の面倒な顧客確認(KYC)手続きを避けるユーザーが増えるにつれて拡大する可能性がある。

DEXは、買い手と売り手の間で取引を仲介する従来的な手法ではなく、自動化されたアルゴリズムを使って、多くのユーザーの大量の暗号資産取引を調整するブロックチェーンベースのアプリケーションだ。

DEXは、トークン保有者に配当のような分散型収益を提供し、資産をセルフカストディ(自己保管)する機能を備えているという。取引報酬を含めると、DEXはCoinbase Proのような中央集権型取引所よりも比較的安価な手数料になるとシティは付け加えた。

DEXとCEXの主な違いの1つはカストディと同行は述べた。CEXで資産を保管することにはリスクがあるとし、レンディング大手のセルシアス・ネットワーク(Celsius Network)とブローカーのボイジャー・デジタル(Voyager Digital)の破綻を例にあげた。

規制強化が影響

DEXの取引高を増加させている要因の1つは、規制の強化だろうとレポートは述べた。規制がより広く展開され、報告要件が拡大すると、ユーザーは「KYC要件の面倒なCEX」からDEXに移行し始める可能性があるという。

規制はより「厳しく、面倒」になることが予想されるとレポートは付け加えた。

シティによると、DEXはスポット取引高の18.2%を占め、取引高は月500億ドル超と堅調に推移し、2021年の総収益は36億ドルに達したという。DEXの総取引高の約70%を占めるのがユニスワップ(Uniswap)で、最近行われたガバナンス提案が可決されれば、トークン保有者に最大2億5000万ドルを分配することになる。

「こうした動きは、DeFi(分散型取引所)の基礎となるDEXの重要な転換点となる可能性がある」とシティは述べた。

|翻訳:coindesk JAPAN
|編集:増田隆幸
|画像:CoinDesk TV(キャプチャ)
|原文:Citi Says Decentralized Crypto Exchanges Are Gaining Market Share From Centralized Peers