韓国政府、サイバー犯罪で北朝鮮に制裁──対象のウォレットアドレスとの取引を制限

韓国政府は、暗号資産(仮想通貨)の窃盗を含む違法なサイバー活動で「核およびミサイル開発」の資金源になったとされる北朝鮮の4人の個人と7つの組織をブラックリストに登録した。

韓国外務省は2月10日、声明で「これは韓国政府によるサイバー分野における初の北朝鮮に対する独自制裁だ」と述べた。「制裁対象の識別情報として仮想通貨ウォレットのアドレスを含めることで、北朝鮮との暗号資産取引の危険性を世界に警告する契機となることが期待される」としている。

北朝鮮による暗号資産の盗難は2022年に過去最高を記録した。また、北朝鮮の2組のハッカー集団がHarmonyブロックチェーンのブリッジサービスから1億ドル(約130億円)の暗号資産を盗むことを画策したとアメリカ連邦捜査局(FBI)が1月に発表している。北朝鮮のハッカーグループ「Lazarus」に関連するとされるアメリカのブラックリスト入りしたイーサリアムウォレットは、昨年3月の6億ドル(約780億円)のハッキングにも関与していた。

韓国の制裁は、Lazarusとの関係が疑われる個人を対象としており、Lazarusの隠れ蓑とされる企業「Chosun Expo Joint Venture」のパク・ジンヒョク(Park Jin-hyeok)などの人物の名前が挙がっている。7つの組織は「ハッキングや仮想通貨の窃盗など」のサイバー攻撃を行ったり、専門家の育成を行ったりしていると声明は述べている。

規制の下では韓国の金融委員会の事前許可なしにブラックリストに掲載されたエンティティと暗号資産を取引することは禁じられているという。暗号資産取引は、韓国のテロ資金調達禁止規定にも含まれている。

|翻訳:coindesk JAPAN
|編集:井上俊彦
|画像:Shutterstock
|原文:South Korea Blacklists North Korean Crypto Thieves, Flags Wallet Addresses