バイナンス、純流出が増加──BUSDへの懸念広がる

バイナンス(Binance)はデータ企業ナンセン(Nansen)によると、過去24時間に約8億3100万ドル(約1080億円、1ドル=130円換算)の純流出に直面している。投資家は、パクソス(Paxos)が発行を手がけるステーブルコイン「バイナンスUSD(BUSD)」に対する規制当局の取り締まりを懸念しているようだ。

ナンセンのデータによると、過去24時間の引き出し額は約28億ドル、一方、預け入れは約20億ドルとなった。

(Nansen)

ニューヨーク州金融サービス局(NYDFS)は2月13日、パクソスに時差総額160億ドルにのぼるBUSDの発行停止を命じた。またSEC(米証券取引委員会)はBUSDの件で同社を提訴すると伝えられている。

BUSDは、時価総額第3位のステーブルコインで、バイナンスの取引高の35%を占める。

純流出の増加は暗号資産運用会社21Sharesのデータダッシュボードによると、BUSDの準備金に関する同取引所のレポートが投資家を警戒させた12月を上回り、2022年11月以降で最大の1日あたりの純流出となった。

再び注視されるバイナンスの準備金

ナンセンによると、バイナンスが保有するBUSDは約134億ドル、テザー(USDT)に次ぐ保有高となっているため、規制当局の動きはバイナンスにとって大きな痛手となった。BUSDは、バイナンスの保有資産600億ドルの22%を占める。

引き出しはバイナンスとその準備金をテストしていると、市場分析企業ファンドストラット(Fundstrat)のデジタル資産リサーチ担当バイスプレジデント、ウォルター・テン(Walter Teng)氏は述べた。

「バイナンスが顧客の預け入れに対して、準備金を1:1で保有していないと仮定すると、引き出し圧力に直面するかもしれない。BUSDのオンチェーン流動性はすでに枯渇しており、BUSDを米ドルまたは別のステーブルコインに換えて顧客の引き出しに対応することが唯一の実行可能な選択肢となっている」(テン氏)

バイナンスのチャンポン・ジャオ(Changpeng Zhao)CEOは、顧客資産は安全とツイートしている。

|翻訳:coindesk JAPAN
|編集:増田隆幸
|画像:Nansen
|原文:Binance Withdrawals Surge as Paxos-BUSD Drama Weighs on the Exchange