テザー社、ビットコインを継続的に購入──準備金の強化と多様化が目的

ステーブルコインのデザー(USDT)を手がけるテザー(Tether)社は、ビットコイン(BTC)にフォーカスした新しい投資戦略の一環として、今月から利益の一部を使ってビットコインを定期的に購入すると発表した。

実現利益の最大15%をビットコイン購入にあて、準備金に追加。第三者のカストディサービスを利用せず、自社で保有していくという。

先週、同社は時価総額820億ドルにのぼるUSDT、および他の小規模なステーブルコインの準備金のうち、15億ドルをビットコインで、34億ドルをゴールドで保有していることを明らかにした。2023年第1四半期の監査保証報告書によると、準備金の約85%は現金および米国債などの現金同等物となっている。

ビットコインへの投資

テザー社のビットコイン購入は、プレスリリースによると、投資としての価格上昇を利用しながら、ステーブルコインの準備金の強化と多様化を図るものだという。

「ビットコインは、その回復力を継続的に証明し、実質的な成長可能性を持つ長期的な価値の保存方法となっている」と同社最高技術責任者パオロ・アルディーノ(Paolo Ardoino)氏はリリースで述べた。

「ビットコイン投資は、当社のポートフォリオのパフォーマンスを向上させるのみならず、変革的なテクノロジーと連携する方法でもある」

ビットコイン購入には「運用による有形利益のみを考慮する」という。つまり、保有資産の含み益は考慮せず、投資で得た実現利益のみを利用する。同社は、小規模な投資の中では、通信システム、エネルギー、ビットコインマイニングインフラに注力している。

テザー社は長年、準備金についての透明性の欠如や物議を呼ぶ投資行動によって、業界内で批判されてきた。しかし、アメリカの銀行危機で時価総額第2位のステーブルコインであるサークル社のUSDコイン(USDC)が3月、一時ドルペッグを失う事態となったことで、USDTの安全資産としてポジションに再び注目が集まった。

テザー社は、英領バージン諸島と香港に本拠地を起き、アメリカの銀行との関係は浅いため、ドルペッグを維持し、勝者として抜け出した。USDTの流通量は今年24%増加、一方、ほとんどのライバルは大幅に減少している。

|翻訳:coindesk JAPAN
|編集:増田隆幸
|画像:Shutterstock
|原文:Tether Says It Will Buy Bitcoin for Stablecoin Reserves Using Realized Profits