ビットコインマイナー、施設をAI向けに転換する動きも──エヌビディアの好調な見通しが後押し

半導体大手エヌビディアは、ChatGPTなどのAI(人工知能)革命を支えるハードウェア需要急増の恩恵を受け、きわめて好調な財務見通しを発表。25日にウォール街で注目を集め、株価が急騰した。

注目すべきは、ビットコイン(BTC)マイナー(マイニング事業者)は、すでにAI分野に参入するために必要な専門知識とデータセンターを持っていること。だがマイナーがAIに参入するかどうかはわからない。

エヌビディアの業績予想に対する「市場の圧倒的にポジティブな反応」は「多くのマイニング企業が、多くのキャパシティを他の形式のコンピューティングに割り当てる動きを追うインセンティブになるだろう」とマイニングサービス企業Luxor TechnologiesのCOO(最高執行責任者)イーサン・ベラ(Ethan Vera)氏は述べた。

ベラ氏は、Applied Digitalがデータセンター設計会社のSupermicroと提携し、AIクラウドを提供するという24日の発表に触れた。

Applied Digitalや、同業のマイニング企業であるHut 8 Mining、Hive Blockchainは、データセンタースペースを他の分野のコンピューティングに多様化することに目を向けていた。マイニング事業者たちは、マイニングよりもAIの方が利益が大きいと考えているとApplied Digitalのウェス・カミンズ(Wes Cummins)CEOは述べている──少なくとも、ビットコイン価格が再び上昇するまでは。

ただし、AI参入は簡単ではないだろう。AIやクラウドアプリケーションのような高性能コンピューティングは、ビットコインマイニングとは「異なるレベルのインフラ構築が必要」とベラ氏。さらに、新たな施設を計画するためのエンジニアや営業スタッフを雇わなければならないだろうと続けた。

Hut 8のコミュニケーション・カルチャー担当シニア・バイスプレジデント、エリン・ダーマー(Erin Dermer)氏は、Vera氏と同じように「マイニング事業者が自社のマイニング施設をAIコンピューティング向けに転換することは簡単ではない。レイテンシー、コンプライアンス、冷却、環境要因(湿気、塵)、電力冗長性などをすべて考慮したうえで、施設を更新する必要がある」と述べた。

施設をAI向けに転換するマイニング事業者は多くはないとはいえ、「すでにビットコインマイニングに加えて、高性能コンピューティングやエッジコンピューティングなど、より多様なアプローチでビジネスを展開しているマイニング事業者も存在する。AIの急成長に伴い、これらの企業はそうしたビジネスラインの開発を加速させるかもしれない」と語ったのはFoundry Digitalのマイニング責任者ジュリ・ブロビッチ(Juri Bulovic)氏。

一方、エヌビディアの業績予想は、25日に約13%上昇したSingularityNET(AGIX)をはじめ、AI関連の暗号資産を上昇させた。CoinGeckoのデータによると、Fetch.ai(FET)とRender(RNDR)は過去24時間で5%以上上昇した。

|翻訳:coindesk JAPAN
|編集:増田隆幸
|画像:Shutterstock
|原文:Nvidia’s Blockbuster Outlook Reminds Bitcoin Miners to Give AI a Look