SEC、バイナンスとジャオCEOを提訴

米証券取引委員会(SEC)は6月5日、暗号資産取引所バイナンス(Binance)、バイナンスUSの運営会社、バイナンスの創業者兼CEOのチャンポン・ジャオ(Changpeng Zhao)氏を連邦証券法違反の疑いで提訴した。

バイナンスコイン(BNB)、およびステーブルコインのバイナンスUSD(BUSD)の提供が未登録の証券の提供にあたり、またステーキングサービスは証券法に違反しているという。

さらにBAM Trading(バイナンスUSの運営会社)およびバイナンス自体に対しても、清算機関としての登録漏れ、仲介業者としての登録漏れ、取引所としての登録漏れなどの提訴がなされている。SECはまた、バイナンスが顧客資金の混同を認めていたこと、ジャオ氏がバイナンスUSを「秘密裏に」コントロールしていたこと、ジャオしが所有・運営する事業体がバイナンスUSの取引高を膨らませていたとしている。

また訴状は、バイナンスはアメリカ市民または居住者のプラットフォームでの取引を許可していないと公言しているにもかかわらず、実際は取引を許していると、複数回述べている。

「アメリカの規制から身を隠すためのジャオ氏とバイナンスの計画の第二段階として、彼らは一貫してBinance.comはアメリカ人にサービスを提供していないと公言し、同時に最も価値のあるアメリカ人顧客がプラットフォームで取引を続けるようにするための取り組みを隠蔽した」

「2019年にバイナンスUSがスタートした時、バイナンスはBinance.comからアメリカ人顧客をブロックするためのコントロールを実施していると発表した。実際には、バイナンスはその逆を行った。ジャオは、特定の高価値のアメリカ人顧客がこれらのコントロールを回避することをサポートし、秘密裏に行うようバイナンスに指示した。ジャオ自身が認めていたように、バイナンスはこれらの行為について『責任を負いたくない』と考えていたからだ」

SECはまた、ソラナ(SOL)、カルダノ(ADA)、ポリゴン(MATIC)、コティ(COTI)、アルゴランド(ALGO)、ファイルコイン(FIL)、コスモス(ATOM)、ザ・サンドボックス(SAND)、アクシー・インフィニティ(AXS)、ディセントラランド(MANA)など、多くの暗号資産は証券にあたると主張している。

訴状では、バイナンスのチーフ・コンプライアンス・オフィサーは2018年、別の従業員に「我々はアメリカで無許可の証券取引所として運営されている」と述べたとされている。

罰則について

SECは、バイナンス、バイナンスUS、および「それぞれのエージェント」などに連邦法違反の停止、「不正に得た利益」を利子をつけて放棄することなどを求めている。

また、ジャオ氏がいかなる証券発行体の役員あるいは取締役になることを禁じ、バイナンス、バイナンスUS、ジャオ氏が「暗号資産証券を含む」あらゆる証券に参加あるいは取引することをブロックしたいと考えている。

これはまた、被告らが任意の暗号資産証券を扱う、未登録のブローカー、清算機関または取引所として営業することをブロックすることを含むだろうと訴状は記している。

|翻訳:coindesk JAPAN
|編集:増田隆幸
|画像:Shutterstock
|原文:SEC Sues Crypto Exchange Binance and CEO Changpeng Zhao, Alleging Multiple Securities Violations