ライトニング・ネットワークはビットコインの問題をすべて解決するわけではない

ビットコイン・レイヤー2プロトコルの「ライトニング・ネットワーク」は、うまく名付けられている。十分に機能する時には、本当にライトニング(電光石火)のように高速で機能するからだ。ライトニング・ネットワークは大人気だ。

期待を背負ったライトニング・ネットワーク

人気は納得できる。問題や欠点もあるが、可能性は大きく、ビットコインのスケーリング問題の解決に役立つ可能性が高い。しかし、期待が大きいゆえに、あらゆることを解決するとアピールされてきた。

取引手数料が高過ぎる? ライトニング・ネットワークがある。

ブロックが小さ過ぎる? ライトニング・ネットワークがある。

ブロックの処理速度が遅過ぎる? ライトニング・ネットワークがある。

政府が取引を検閲している? ライトニング・ネットワークがある。

スープが熱過ぎる、スープが冷た過ぎる、スプーンが無い……といった具合だ。

OrdinalsやBRC-20のブームを受けて、ビットコインの取引手数料が高騰しているが、ちょうど同じタイミングでフロリダ州マイアミで開催されたカンファレンス「Bitcoin 2023」でのビットコインが抱える複数の問題についての議論はもちろん、ソーシャルメディア上でも同じ問題が繰り返し、指摘されていた。

答えはもちろん、ライトニング・ネットワークだ。

実験的なテクノロジー

しかし、ライトニング・ネットワークがビットコインのあらゆる問題に対する万能薬になると、皆が考えているわけではない。そもそも、解決するはずの問題を解決できるかどうかすら疑問視している人もいる。

つまり、簡単に言えば、ライトニング・ネットワークは、高速で安価、日常的なピア・ツー・ピアのビットコイン取引を実現する方法ではないかもしれない。

ビットコイン上にレイヤーが構築されることを好む人、好まない人、ベースレイヤーは固定化され、変化するべきではないと考える人たちもいる。そのような意見の不一致はひとまず脇に置いておくと、今のところライトニング・ネットワークはおそらく、あらゆるタイプの決済ではなく、特定のタイプの決済に有効だという現実的な見方が広がっている。

どちらかの立場が完全に正しいということではないが、集団的で画一的な思考が支配しているわけではなさそうだ。ライトニング・ネットワークはすべてを解決してくれないかもしれないが、それでいい。それでも挑み続けるべきだ。

ライトニング・ネットワークはこれまでも現在も、実験的なテクノロジーだ。経験が浅ければ簡単に資産を失ってしまう可能性があるため、苦労して手に入れたビットコインをライトニング・ネットワークに差し出す時には、慎重になるようにとこれまでも支持者たちは一貫して警告してきた。

「Wallet of Satoshi」など、特に人気のライトニング対応ウォレットは、カストディアルだからこそ、きわめてうまく機能する。

万能薬ではなくて多様性

ライトニング・ネットワークは、THNDR Games、Voltage、CashApp、Strike、River、Amboss、Zebedee、IBEXなど、期待できる多くのビットコイン・スタートアップを生み出してきた。ライトニング支持者の多くは、ライトニング・ネットワークこそが、数十億人がビットコインにアクセスできるようにするための方法と考えている。

その考えは正しいかもしれない。将来、多くの人がビットコインを使うようになれば、日常的な取引にはライトニング・ネットワークを使った方が理論的には安価になるだろう。国によって所得に大きな差があるので、より安価であれば当然、よりアクセスしやすくなる。

しかし、ビットコインが数十億人に普及するという考えは、最近では当然とは考えられていない。とんでもない夢想と考える人もいる。ビットコインをより多くの人が使うようになれば、予期せぬ問題が生じるかもしれない。

とにかく、万能薬は存在しない。ライトニング・ネットワークも、Stratum V2も、あなたのお気に入りのビットコイン関連プロトコルも、すべてを解決してはくれない。

ひとつのテクノロジーにすべての希望と夢を託していた時代が終わることはよいことだ。間違った神を崇めても、決してうまくはいかないのだから。

ビットコインは分散型であり、分散型の多様な思考を必要とする。ライトニング・ネットワークやLiquid、Arkなど、お気に入りを支持することは構わない。ビットコインはオープンソースだからこそ、常に新しいプロジェクトが登場してくる。それはよいことだ。

|翻訳・編集:山口晶子、増田隆幸
|画像:Shutterstock
|原文:The Lightning Network Doesn’t Fix Everything Wrong With Bitcoin