デジタル証券、EUでも始動──米セキュリタイズがスペインでデジタル証券を発行

セキュリティ・トークン(デジタル証券)発行プラットフォームを手がける米セキュリタイズ(Securitize)は、EU(欧州連合)のデジタル資産向けパイロット制度のもとで、初のトークン化された株式を発行した。同社が7月27日に発表した。

レイヤー1ブロックチェーンのアバランチ(Avalanche)を使って発行されたトークンは、スペインの不動産投資信託Mancipi Partnersの株式を表すもので、スペインの証券規制当局のテスト環境下で監督されている。トークン化された株式、つまりセキュリティ・トークン(デジタル証券)の流通市場(二次市場)での取引は9月に開始されると同社は述べた。

プライベート・エクイティや債券のような旧来の投資商品をトークン化してブロックチェーン・アプリケーション上に置くことで、伝統的な資本市場と暗号資産はますます融合するようになっている。トークン化は現在の金融インフラをディスラプト(創造的破壊)し、より効率的なシステムを作り出す可能性があるとバンク・オブ・アメリカは述べている。ボストン・コンサルティング・グループのレポートによると、トークン化された資産の市場は2030年までに16兆ドル(約2240兆円、1ドル140円換算)にまで達する可能性があるという。

「欧州企業はこのイノベーションの大きな受益者となるだろう。一次増資によって資金を調達し、二次取引を通じて潜在的な税制優遇と流動性を確保する新しい方法を企業に提供する」とセキュリタイズの共同創業者兼CEOのカルロス・ドミンゴ(Carlos Domingo)氏は声明で述べた。

セキュリタイズは昨年、資産運用会社ハミルトン・レーン(Hamilton Lane)とKKRの投資ファンドをトークン化している。

同社によると、今回の取り組みはEUの分散型台帳技術(DLT)パイロット制度のもとでの初のトークン化株式の発行という。また、約半年間の試験期間を終えた後は、スペインおよびEU全域でセキュリティ・トークン(デジタル証券)の発行・管理・取引ライセンスを取得したいと同社は考えている。

|翻訳:CoinDesk JAPAN
|編集:増田隆幸
|画像:カルロス・ドミンゴCEO(Securitize)
|原文:Asset Tokenization in Europe Gets a Boost With Securitize’s Landmark Tokenized Equity Issuance