ECBのラガルド総裁、デジタルユーロ実現は少なくとも2年先

欧州中央銀行(ECB)のクリスティーヌ・ラガルド総裁は25日、欧州議会経済通貨委員会の議員らに対し、中央銀行デジタル通貨(CBDC)に由来するプライバシーへの懸念に対処するため、デジタルユーロの実現には少なくとも2年かかると語った。

ECBは今後数週間のうちにCBDCの準備を進めるかどうかについて重要な決定を下す予定だが、計画を承認してもらう必要がある欧州議会の議員の多くは懐疑的なようだ。

試験運用を進めるかは10月後半に決定

ラガルド総裁は「(ECB)理事会がこのプロジェクトのさらなる試験運用を進められるかどうかを決めるのは10月後半になる」とし、「最終決定に至るまで、試験運用には少なくともあと2年はかかるだろう」と述べた。

ラガルド総裁は、あたかもビッグ・ブラザー(支配者)があなたが何を買うか、いつ買うか、そしてそれがどれだけ制限を受けるかを突然決めようとしているかのような陰謀論があるとし、「この件に関して溢れているすべての陰謀論に対処できれば、そのとき、この計画は成功したと言えると私は考える」と表明。デジタルユーロは完全な匿名性がない状態でプライバシーを提供し、ユーザーフレンドリーで無料かつ普遍的なものである必要があると述べた。

議員らはプライバシーに懸念

ECB理事のファビオ・パネッタ(Fabio Panetta)氏は以前、議員とEU加盟国政府がCBDCのプライバシー対策を定める法案に合意するまでは決定を下さないと約束したが、議員や政府は依然として多くの懸念を抱いている。

ドイツの中道派議員ニコラ・ビア(Nicola Beer)氏は25日、マネーロンダリングを抑制し、大規模なCBDC保有による商業銀行システムの混乱を阻止することを目的としたECBの計画に言及。ラガルド氏に対し、「完全なトレーサビリティの結果として、取引と保有の制限、および身元確認を要求する場合、プライバシー上の主要な懸念事項をすべてどのようにチェックするか?」「これはデジタルユーロの受け入れを妨げないのか?」との質問を行った。

欧州議会は先月、EUの暗号資産市場規制法(MiCA)の立案者であるドイツのステファン・ベルガー(Stefan Berger)議員が議会を通じてデジタルユーロ法案を主導すると発表した。

|翻訳・編集:林理南
|画像:ECB/Flickr
|原文:Digital Euro at Least 2 Years Away, ECB’s Lagarde Says