オーストラリア当局、暗号資産取引所のライセンス制度を提案──2024年までに法案作成を目指す

オーストラリアは2024年までに暗号資産(仮想通貨)プロバイダーのライセンスとカストディのルールをカバーする法律の草案を発表する予定だ。法律が制定されれば、取引所は新体制に移行するために12カ月の猶予が与えられると、オーストラリアの財務省が10月16日に発表した。このスケジュールによると、オーストラリアの暗号資産プラットフォームが新しく提案された制度の下でライセンスを取得するには2025年までかかる可能性がある。

それでも、今回の動きは暗号資産規制の枠組みに向けてオーストラリア政府がとった最も重要なステップの一つだ。この提案は2023年2月に初めて表明された後、2023年半ばまでには発表される予定だった。延期された後に10月に発表されたコンサルテーションペーパーは、以前のトークンマッピングコンサルテーションペーパーとは別のものだ。トークンマッピングとは、暗号資産商品の主要な活動や機能を特定し、既存の規制の枠組みに照らし合わせてマッピングするプロセスを指す。

この提案は、オーストラリアの財務次官兼金融サービス大臣であるスティーブン・ジョーンズ(Stephen Jones)氏がAustralian Financial Review Crypto Summit(AFRCM)でのスピーチで発表した。提案の詳細はAFRが最初に報じた

パイパー・アルダーマン(Piper Alderman)の暗号資産弁護士であり、ブロックチェーン・オーストラリア(Blockchain Australia)の会長であるマイケル・バチーナ(Michael Bacina)氏は「このアプローチは消費者保護中心であり、現在規制されていない多くのビジネスモデルを捕捉するために広範な網が設定されている。顧客資産を保有するNFTマーケットプレイスもライセンスが必要になる可能性がある」と、このイベントで米CoinDeskに語った。

10月16日に発表された提案では、1人の顧客から1500豪ドル(約14万2500円、1豪ドル=95円換算)以上、または総資産で500万豪ドル(約4億7500万円)以上を保有するすべての暗号資産取引所は、オーストラリア証券投資委員会(ASIC)が付与するオーストラリア金融サービスライセンスが必要になるとしている。ペーパーでは32のテーマについて、意見がある場合は2023年12月1日までに書面で提出することを求めている。

「国内および海外の暗号資産プラットフォームに平等な競争条件を求めることを望む」と地元の暗号通貨取引所であるSwyftxの法務顧問のアダム・パーシー(Adam Percy)氏は述べた。「政府の協議は思慮深く、適切な保護と革新の余地を備えている」

さらに、オーストラリア準備銀行(中央銀行)のブラッド・ジョーンズ(Brad Jones)副総裁(金融システム担当)は講演で、オーストラリアの財務省と中央銀行は「オーストラリアにおける中央銀行デジタル通貨(CBDC)研究の総括を行い、将来の作業に向けたロードマップを示す共同報告書を2024年半ば頃に発表する」と述べた

2023年初め、オーストラリアはCBDCのパイロットプロジェクトの終了時にいくつかの未解決の問題が表面化したため、数年間はCBDCに関するいかなる決定も行わないことを決定した。

|翻訳:CoinDesk JAPAN
|編集:井上俊彦
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|原文:Australia Proposes New Licensing Regime for Crypto Exchanges, Aims for Draft Legislation by 2024