三菱UFJ信託、ステーブルコインで国際決済──暗号資産交換業者がターゲット:報道

三菱UFJ信託銀行が暗号資産(仮想通貨)交換業者向けにステーブルコインを活用した国際決済の仕組みを構築するという。11月3日、日経新聞が報じた。

暗号資産ウォレットを手がけるGinco(ギンコ)と連携。ステーブルコインの発行には、10月に同行から独立したProgmat(プログマ)のステーブルコイン発行基盤「Progmat Coin」を使用するという。

ステーブルコインはドル連動型、円連動型を発行。ステーブルコインを使うことで国内の暗号資産交換業者は、海外の事業者と暗号資産を取引するときに、従来の銀行口座を使った取引に比べて、効率化・手数料削減などが実現できるとしている。

仕組みの構築には、暗号資産取引所のビットバンク、先日、100万ユーザー突破を発表したメルコインに加え、海外から米取引大手のカンバーランドグローバルが参加。今後、他の事業者の参加を国内外で呼びかけるという。

今年6月、改正資金決済法が施行されたことで、日本でのステーブルコイン発行に期待が高まっており、特に企業間取引での利用に各社はチャンスを見出している。

ステーブルコイン業界を変える可能性も

今回の取り組みは、そのニーズが最も明確な暗号資産交換業者をターゲットにしたものだ。暗号資産取引では現状、ステーブルコインのテザー(USDT)やUSDコイン(USDC)が使われているが、時価総額最大のテザーは以前から、裏付け資産(準備金)の不透明さが指摘されている。USDCは春に起きた米地方銀行危機の際に、一時的にドル連動から逸脱し(デペッグ)し、信頼性に疑問が浮かんだ。

その状況下で、日本から厳しい規制に基づいた、おそらく世界一安全で、信頼性の高いステーブルコインが登場し、まずは日米の取引所間での取引を皮切りにその存在感を増していけば、ステーブルコインの業界地図が変わる可能性もある。

参考記事:Progmatは自らステーブルコインを発行しない?──誤解と知られざるインパクト

国内の暗号資産ビジネスが加速?

一方、国内を見ても、取り組みへの参加が伝えられたビットバンクは、機関投資家の参入促進を狙って、三井住友トラスト・ホールディングスとデジタル資産に特化した信託会社の設立に向けた動きを進めている。

またメルコインは先日、サービス開始からわずか7カ月で100万ユーザーを突破したと発表。暗号資産の新規ユーザー獲得において、大きな存在感を示している。

日経新聞が伝えた以上の情報は、まだ明らかになっていないが、三菱UFJ信託銀行、Ginco、ビットバンク、メルコイン、Progmatという注目のプレイヤーが参加する取り組みは、国内の暗号資産ビジネスに大きなインパクトをもたらし、ビジネスを加速させることになりそうだ。

|文・編集:増田隆幸
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