バイナンスの新CEOのテン氏、初の公開インタビューで回答を避ける姿勢

大手暗号資産(仮想通貨)取引所バイナンス(Binance)の新CEOリチャード・テン(Richard Teng)氏の表舞台でのデビューは少々不安定なものだった。

創業者である「CZ」ことチャンポン・ジャオ(Changpeng Zhao)氏がアメリカ政府との43億ドル(約6235億円、1ドル145円換算)の法的和解の中で辞任を決めたことを受けて先月CEOに就任したテン氏は、就任以来初の公開インタビューで、バイナンスのコンプライアンスシステムが過去に不十分であり、間違いがあったと認めた。しかし、バイナンスで数年間上級職を務めてきたテン氏は、同社のガバナンスについての回答を拒否した。

回答を避けるような姿勢

フィナンシャル・タイムズのデジタル資産担当特派員でモデレーターを務めたスコット・チポリーナ(Scott Chipolina)氏は、テン氏にバイナンスに関する簡単な質問を繰り返し行ったが、テン氏は回答を避けるような姿勢を見せた。チポリーナ氏はロンドンにいたが、テン氏はビデオを通じてリモートで出演した。

チポリーナ氏は何度もテン氏から答えを引き出そうとした後、「私はバイナンスの世界本社がどこにあるのか質問した。バイナンスが監査を受けるつもりなのか、同社の帳簿上の従業員数は現在何名なのか、そして直近のフィナンシャル・タイムズ暗号カンファレンスでバイナンスが我々に伝えた、英国でライセンスを申請しているのかについて質問した。あなたはこれらの質問に答えていない」と述べた。

テン氏は、「私はすべての質問に答えた」とテン氏は言い、耐えられなくなったようだった。

テン氏は再度バイナンスの本社について質問され、「検討中だ」と回答した。バイナンスの将来や、新しいリーダーシップの下でバイナンスがどのように変化するかについて質問されても、テン氏は曖昧なままだった。業界の状況について話し始める前に、「多くのことが変化するだろう」と語った。

コンプライアンスで間違い認める

テン氏は事前に作成されたと思われる声明文でインタビューを開始し、「間違いがあった」とし、バイナンスが実施しているコンプライアンス管理はその規模に対して「不十分」だったと表明。今後、バイナンスは「コンプライアンス主導」の組織であると同時に「ユーザー主導」の組織を目指すと述べた。

バイナンスが近く監査を受けるかとの質問に対し、テン氏は、バイナンスは非公開企業であり、公開で資金調達をしていないため、「そのような事実を開示する義務はない」が、監査人はその情報を持っていると述べた。

この回答を不十分ととらえたチョポリーナ氏は再度、バイナンスが監査を受けるつもりかどうかを質問。テン氏は、「当社が営業するすべての規制管轄区域で監査を受けている」と答えたが、具体的な監査人の名前を聞かれても答えなかった。

|翻訳・編集:林理南
|画像:CoinDesk/Lyllah Ledesma
|原文:New Binance CEO Evasive in First Marquee Interview Since Getting One of the Biggest Jobs in Crypto