ビットコイン、半減期から受ける影響とは?

ビットコインは、1月にスタートしたビットコインETFを通じて新規参入者が流入し、価格が5万ドル(約750万円、1ドル150円換算)を超えた。そして4月中旬には4回目の半減期が予想されている。

ビットコインの半減期とは、取引を検証し、ブロックチェーン上に新しいブロックを作成することに対して、マイナーにビットコインで支払われる報酬を半減させる定期的なイベントを指す。

半減期はおよそ4年ごとに発生、具体的にはビットコイン・ブロックチェーン上で21万ブロックが生成されるたびに行われる。

半減期は、新しいビットコインが供給されるペースを定期的に減少させ、その希少性を維持することを目的としている。最終的に、2100万ビットコインがマイニングされた後は、ビットコインが新たに供給されなくなる。

価格への影響

一般的な認識では、半減期はビットコイン価格にとってポジティブとされており、歴史的にもそうだった。半減期はしばしば、暗号資産(仮想通貨)投資家の間に楽観論を生み出し、その後のポジティブな値動きにつながる。

ポジティブな値動きはいくつかの要因によるものだ。まず、ビットコインの発行率の低下は、その希少性を際立たせ、需要を高め、結果として価格を上昇させることにつながる。さらに、半減期は暗号資産に注目を集め、新たな投資家を引き付け、取引を活発化させる。

しかし、半減期はこれまで、価格上昇につながっているものの、その上昇の大きさは減少していることに注意が必要だ。

ビットコイン半減期がリターンに与えた影響をより詳細に理解するために、コインデスク・インデックスのビットコイン・価格インデックスを使って、2010年7月から2024年2月までを振り返り、ビットコインの各半減期ごとの週間リターンを比較した。

(半減期ごとの週間リターン分布、出典:CoinDesk Indices, Investing.com)
※2010年7月~2014年10月は、Investing.comのBTCUSDを利用。リターン外れ値の0.5%および99.5%は除外。
(半減期サイクルごとの週間リターン、出典:CoinDesk Indices, Investing.com)

これらの分布を重ね合わせて、年間リターンとボラティリティを比較すると、ビットコイン市場が暗号資産愛好家の趣味から、機関投資家の関心を集める本物の資産へと成熟するにつれて、リターン分布が狭くなっていることがわかる。

この進化は、半減期ごとにリターンとボラティリティの両方が低下していることでもわかる。一方、ボラティリティあたりのリターンは、最初の半減後、一定に保たれている。

この進化は、2012年以前の市場が初期段階にあったときに経験したようなビットコインのパフォーマンスを期待すべきではないことを示している。

マイナーへの影響

半減期によって直接影響を受ける市場参加者のひとつは、新しいブロックに対する報酬が半減されることになる、ビットコインマイナーだ。

マイニング報酬の半減は、マイナーの収益性に影響を与える可能性がある。マイナーは競争の激化と運用コストの増加に直面し、業界の統合につながる可能性もある。

小規模なマイニング業者は採算を維持することに苦労するかもしれず、一方、より大きなリソース、より安価な電力源、規模の経済を持つ大規模な業者が業界を支配するかもしれない。

半減期の先に目を向けると、ビットコインマイニングの将来は、2100万ビットコインがすべてマイニングされると、最終的には取引手数料のみに依存するようになる。

この移行は、ビットコイン誕生から約31年後に予定されている。マイナーは取引手数料のみに依存するこの変化に適応する必要があるが、これは半減期ごとの段階的な変化でもある。

ビットコインと共存するプロトコルやトークン(Ordinalsなど)など、暗号資産分野におけるイノベーションは、マイナーがビットコインのブロック報酬以外の収益を維持するために業務を多様化し、最適化する機会を提供する可能性がある。

ビットコインの進化は、サイファーパンクや暗号資産テクノロジー愛好家の趣味から、ビットコインETFや規制されたデリバティブ市場を持つ、デジタル的に希少な「価値保存の手段」へと長い道のりを歩んできた。

とはいえ、市場サイクルや時価総額の増加を通じて、ビットコインのボラティリティは低下している。ビットコインの保有者の状況は、2010年の保有者とは大きく異なっており、これまでの半減期を分析する際には、予想を抑えめにする必要があるだろう。

|翻訳・編集:山口晶子、増田隆幸
|画像:Shutterstock
|原文:How the ‘Halving’ Could Impact Bitcoin