DeFiがドルのグローバルな強さを高める可能性がある:米FRBのウォーラー理事
  • FRBの7人の理事のうちの1人、クリストファー・ウォーラー氏は、これまでのところ暗号資産業界がドルにもたらす影響は実際には助けになっているようだと述べた。
  • 現在ステーブルコインの99%がそうであるように、ステーブルコインがドルに紐づいている限り、ドルのグローバルな強さを強化することになる。

ステーブルコインはドルに連動

暗号資産(仮想通貨)を批判する人はデジタル通貨が米ドルを不安定化させる可能性をよく警告しているが、米連邦準備制度理事会(FRB)のクリストファー・ウォーラー(Christopher Waller)理事は、分散型金融(DeFi)の普及に伴い、ステーブルコインがドルに依存していることによって実際にはドルが強化される可能性があると主張した。

ウォーラー理事は15日にバハマで開催されたイベントで、「人々はビットコインのような暗号資産が米ドルに取って代わる世界の基軸通貨になるのではないかとよく推測している」とした上で、ほとんどのDeFi取引ではステーブルコインが使用されており、その時価総額の99%はドルの価値に紐づいていると指摘。「したがって、DeFi業界での取引拡大は単にドルの支配的な役割を強化するだけになる可能性が高い」と述べた。

ドルの地位低下の主張は「空虚」

2020年に当時のドナルド・トランプ(Donald Trump)大統領によって理事に任命されたウォーラー氏は、人々が将来的にドルの使用からデジタル通貨の使用に移行するとすれば、金融政策上の脅威となる可能性が依然としてあることは認めた。しかし15日には、世界の基軸通貨としてのドルの地位低下をめぐって繰り返し主張されているレトリックは空虚だと主張した。

ウォーラー理事は、「一部でその地位を脅かす可能性があると懸念されている最近の動向は、少なくともこれまでのところ、むしろ地位を強化している」と述べた。

テザー(USDT)とUSDコイン(USDC)が支配的な地位を占めるステーブルコインのセクターは暗号資産取引の中心であり、より不安定なトークンの取引に使用される安定した資産としての役割を果たしている。そして、こうした実用的なデジタル資産が今後数年間で劇的に増加し、数兆ドルに達する可能性があると予想する人もいる。

ドルの強さはアメリカ経済とその外交政策上の利益にとって不可欠だが、多くの暗号資産愛好家は、そのような政府ベースの通貨による支配が損なわれるのは良いことだと考えている。

|翻訳・編集:林理南
|画像:Shutterstock
|原文:U.S. Federal Reserve Gov. Waller Says DeFi Could Boost Dollar’s Global Strength