ビットコインETFの取引高の多さは必ずしも買いの多さを意味しない:NYDIG
  • NYDIGのグレッグ・シポラロ氏は、あるファンドの売買回転率、つまりドルベースの取引高をファンドの純資産価値で割った値が、観察すべき好ましい指標だと指摘している。
  • ビットコイン現物ETF全体の売買回転率は5.3%。最も低いのはヴァルキリーのBRRRとグレイスケールのGBTCで、それぞれ2.2%と2.4%だ。

NYDIGのレポートによると、新しく発売されたビットコイン現物ETF(上場投資信託)の取引高が多いことは、投資家の買い意欲が強いことを示していると一般的に考えられているが、必ずしもそうではない可能性があるという。

取引高の多さが資金流入を示すわけではない

NYDIGのグローバルリサーチ責任者であるグレッグ・シポラロ(Greg Cipolaro)氏は先週23日のメモで、「日次の取引高は日次の資金の流れを示す信頼できる指標ではない。これは業界に蔓延している誤解だ」と述べた。

シポラロ氏は例として、グレイスケール(Grayscale)のGBTCの取引高が一貫して最も高く、1月11日の現物ETFの発売以来合計で200億ドル(3兆円、1ドル150円換算)を超えていることを挙げた。このことからGBTCを10のビットコインETFの中で最良の投資だと仮定することもできるが、実際にはGBTCは70億ドル以上の資産を失っており、これは取引高と資金流入との間に相関関係がほとんどないことを最も明確に示していると説明した。

世界最大の資産運用会社ブラックロック(BlackRock)のIBITの取引高はGBTCの半分強、約130億ドル(約1兆9500億円)にすぎないが、運用資産は0ドルから70億ドル近くまで増加した。

売買回転率に着目

シポラロ氏は、あるファンドの売買回転率、つまりドルベースの取引高をファンドの純資産価値で割った数値に着目することを好むとしている。同氏は、「この比率は、特定の日に取引されるファンドの資産の割合を示しており、投資家やトレーダーのプロファイル、そして潜在的に何が彼らの投資選択の動機になっているかを垣間見ることができる」と指摘した。

シポラロ氏によると、ビットコイン現物ETF全体の売買回転率は5.3%。最も低いのはヴァルキリー(Valkyrie)のBRRRとグレイスケールのGBTCで、それぞれ2.2%と2.4%だという。最も高いのはアーク21(Ark 21)のARKBで11.3%だ。同氏はまた、高い外れ値である、ウィズダムツリー(WisdomTree)のBTCW(運用資産わずか約3000万ドルの最小規模の現物ETF)で5日間の売買回転率が205%に達したことにも注目した。

シポラロ氏は、他の人気のあるETF群、例えばS&P500に連動する多数のファンドでは、売買回転率に差が出るのは珍しいことではないと指摘した。オプション市場がこの違いの要因となっている可能性があり、ビットコイン現物ETFのオプションが承認されれば、売買回転率が現在観察されているものから変化する可能性があるのではないかと同氏は考えている。

|翻訳・編集:林理南
|画像:Markus Winkler/Pixabay
|原文:Bitcoin ETF High Volume Doesn’t Always Mean Heavy Buying: NYDIG