グレイスケールのGBTCで売りが加速──ブラックロック主導でビットコインETFの流入は引き続きプラス
  • グレイスケールのGBTCは2月29日に6億ドル近くの流出を記録し、1月22日以降で1日当たりの流出としては最大になったが、他のビットコイン現物ETFへの流入でこの売りが相殺された。
  • ブラックロックのIBITはこの日も好調で、運用資産は100億ドルを超えた。

グレイスケール(Grayscale)のGBTCからの流出は2月29日に急増したが、アメリカの他の9つのビットコイン現物ETF(上場投資信託)への流入が多かったためにGBTCの売りが相殺され、合計の流入はプラスになった。

ビットメックス・リサーチ(BitMEX Research)がまとめたデータによると、GBTCは5億9900万ドル(約898億5000万円、1ドル150円換算)の流出を記録したが、これは28日の流出額のほぼ3倍で、1月22日以降で1日当たりの流出としては最大になった。この数字を裏付けるように、アーカム・インテリジェンス(Arkham Intelligence)は、グレイスケールが(おそらく売却のために)アメリカで市場がオープンした1日午前に1万BTC近くを暗号資産(仮想通貨)取引所コインベース・プライム(Coinbase Prime)に移動させたことを示した。

この大規模な流出は、暗号資産レンディング企業のジェネシス(Genesis)がビットコインの上昇に乗じて保有するGBTCの放出を開始したか、あるいはそのペースを加速させたことを示している可能性がある。ジェネシスは2月14日、GBTC3500万口(当時13億ドル相当、現在は約19億ドル相当)を売却する承認を破産裁判所から受けたが、GBTCからの流出は28日に急増するまで過去2週間抑制されていた。

28日のGBTCからの流出は、破綻した暗号資産取引所FTXの破産財団が約10億ドル(約1500億円)相当のGBTCを売却した1月中旬を彷彿とさせるものだった。

グレイスケールのGBTCは、今年1月に現物ETFに転換されるまで償還のないクローズエンド型ファンドとして運営されていた。過去2年間の暗号資産弱気市場では、GBTCは純資産価値に対して大幅なディスカウント価格で取引されていたが、そのディスカウントはETFの準備段階で消え、最終的にはETFへの転換が行われた。

ブラックロックで運用資産100億ドル超え

一方で、アメリカで上場している他のビットコイン現物ETFへの流入により、28日のグレイスケールでの大規模な流出は相殺された。ただし、ビットメックス・リサーチによると純流入額は9200万ドル(約138億円)で、過去1週間で最低となった。

資産運用大手ブラックロック(BlackRock)のIBITはこの日も引き続き大規模な流入を記録。6億400万ドル(約906億円)の流入があり、9700BTC以上の保有量増加となった。IBITは28日にも過去最高を更新していた。IBITは現在、発売からわずか7週間で運用資産が100億ドル(約1兆5000億円)を超え、16万1000BTC以上を保有するようになった。

ビットコイン(BTC)価格が2021年11月以来初めて6万ドルを超えたため、ビットコイン現物ETFの需要を通じた買い圧力が過去数週間の重要なナラティブ(物語)の一つとなった。ビットコインは2月に44%上昇しており、月間パフォーマンスは2020年12月以来で最高。取引高上位の暗号資産のパフォーマンスを示すCoinDesk 20(CD20)の41%上昇をわずかに上回った。

|翻訳・編集:林理南
|画像:Grayscale
|原文:Grayscale GBTC Selling Accelerates but Bitcoin ETF Inflows Remain Positive, Led by BlackRock