ブラックロック、RWAトークン化参入を公式発表——イーサリアム上でファンド新設
  • ブラックロックがイーサリアムネットワーク上でRWAトークン化ファンドを開始する。
  • 同社はRWAトークン化大手のセキュリタイズに対して戦略的投資を行った。

資産運用大手のブラックロック(BlackRock)は3月20日、イーサリアムネットワーク上でのRWAトークン化ファンド新設を公式に発表した。

プレスリリースによると、「ブラックロック米ドル機関投資家向けデジタル流動性ファンド(BlackRock USD Institutional Digital Liquidity Fund)」にはBUIDLというトークンが用いられるほか、現金、米国債、レポ取引に完全に裏付けされ、トークン保有者に毎日ブロックチェーンを通じて利回りが支払われる。

BNYメロン(BNY Mellon)がカストディアンを務め、セキュリタイズ(Securitize)がトランスファーエージェント(名義書換代理人)とトークン化プラットフォームの役割を担うとブラックロックは述べた。アンカレッジ・デジタル(Anchorage Digital Bank NA)、ビットゴー(BitGo)、コインベース(Coinbase)、ファイヤーブロックス(Fireblocks)も同ファンドのエコシステムに参加する。

ブラックロックはセキュリタイズに「戦略的投資」を行ったともプレスリリースには書かれているが、その詳細は明らかになっていない。

ブラックロックのデジタル資産部門責任者であるロバート・ミッチニック(Robert Mitchnick)氏は、「これは当社のデジタル資産戦略の最新の取り組みだ」と述べ、「我々はデジタル資産分野において、顧客の真の問題解決に役立つソリューションの開発に注力しており、セキュリタイズとの協業に気持ちが高ぶっている」と説明した。

公式発表前、米証券取引委員会への提出書類から明らかになったセキュリタイズとの共同ファンドは、RWAトークン化ファンドである可能性が高いとCoinDeskは19日に報じており、ファンド用と見られる資金の移動もトランザクション履歴で確認されていた。

伝統的な金融大手としては、シティ(Citi)、フランクリン・テンプルトン(Franklin Templeton)、JPモルガン(JPMorgan)に続いて、ブラックロックがトークン化領域に参入を果たした。債券や投資信託のような伝統的な投資商品に対応するブロックチェーンベースのトークンを作成することは、「RWA(現実資産)のトークン化」と呼ばれ、デジタル資産と伝統的な金融(TradFi)のギャップが縮まるにつれて、ブロックチェーンの活用例として急成長している。例えば米国債では、トークン化を受け、オンチェーン資金を使って安定した利回りを得ようとする暗号資産(仮想通貨)企業が増加した結果、市場が2023年初頭の1億ドル(約150億円、1ドル=150円換算)から7億3000万ドル(約1095億円)へと成長した。

ブラックロックのラリー・フィンク(Larry Fink)CEOは年初のCNBCのインタビューで、同社のビットコインETFは「トークン化への足がかりに過ぎない」と語っていた。

|翻訳・編集:行武 温
|画像:Shutterstock
|原文:BlackRock Enters Asset Tokenization Race With New Fund on the Ethereum Network