A16zが支援するアングル、米ドルステーブルコインUSDAを発表──裏付け資産とDeFi収益から利回りを提供
  • アングルのUSDAは、裏付け資産である米財務省短期証券とトークン化された米財務省短期証券から得た利回りとレンディング収益の一部を分配する。
  • 最近利回りが得られるステーブルコインが急増し、既存のステーブルコインであるテザーやUSDコインに代わる選択肢となっている。

分散型金融(DeFi)プロトコルのアングル(Angle)は26日、新しい米ドルペッグ型のステーブルコイン「USDA」を発表した。これは、裏付け資産となっている現実資産(RWA)から得られる利回りとDeFiレンディングからの収益を分配することを目指している。

USDAは、米財務省短期証券やトークン化された米財務省短期証券によって裏付けられており、USDAをアングル・プロトコルにステーキングすると、USDAの準備資産利回りと同プロトコルのレンディングプラットフォームからの収益から生じる報酬を自動的に獲得することができる。このようにして、USDAステーキングによる目標利回りは少なくとも5%になる。

利回り分配付きステーブルコインが急増

最近利回りが得られるステーブルコインが急増しており、新しいステーブルコインは市場シェアの高いステーブルコインから資金を呼び込もうとしている。テザー(USDT)とUSDコイン(USDC)は、裏付け資産から得た利回りを保有者に分配しない。rwa.xyzのデータによれば、マウンテンUSD(Mountain USD)やEthenaのUSDeといった最近発行されたステーブルコインはそれぞれ3億ドル(約450億円、1ドル150円)、13億ドル(約1950億円)の資金を集めた。一方、資産管理大手ブラックロック(BlackRock)も最近、規模の大きい機関投資家向けのドルペッグ型トークンBUIDLを用いるトークン化ファンドで市場に参入した。

外国為替ハブの確立を目指す

アングルはUSDAにより、手数料やスリッページなしでユーロとドルのシームレスな両替を可能にするブロックチェーンベースの外国為替ハブの確立も目指している。アングルはすでに、2200万ドル(約33億円)の供給量があるユーロペッグ型のEURAを提供している。同社は2021年に、ステーブルコインに焦点を当てたDeFiプラットフォームを開発するためにアンドリーセン・ホロウィッツ(a16z)率いるベンチャーキャピタルから500万ドルの資金提供を受けた。

アングルの開発を行うアングル・ラボ(Angle Labs)のパブロ・ヴェイラット(Pablo Veyrat)CEOは、「外国為替市場の1日あたりの取引高は数兆ドル規模だ。しかし現在、本当の外国為替レートでオンチェーン通貨取引を提供するDeFiプロトコルを見つけるのは困難だ」と述べた。

USDAの流動性を高めるために、ユーザーは手数料やスリッページが発生することなく、サークル(Circle)社のステーブルコインであるUSDコインとUSDAの間の交換を行うことができるようになる。

USDAはアングル・プロトコルのガバナンスによって承認されるのを待っており、数日以内にベータテスト段階を開始する見通しだ。4月にはより広範な導入を計画している。同プロトコルによれば、USDAはアメリカを拠点とする投資家には提供されないという。

|翻訳・編集:林理南
|画像:Angle Labs, modified by CoinDesk
|原文:A16z-Backed Protocol Unveils U.S. Dollar Stablecoin Passing Yield from RWA and DeFi