ステーブルコインのテザーが時価総額1000億ドル超え──暗号資産取引の盛り上がりで
  • CoinGeckoのデータによると、テザー社の発行するテザーは4日、初めて時価総額1000億ドルに達した。
  • 暗号資産取引における流動性需要の高まりの恩恵を受け、テザーは直近1週間で時価総額を20億ドル伸ばした。

CoinGeckoのデータによると、暗号資産(仮想通貨)市場の上昇が加速する中、テザー(Tether)社が発行したステーブルコインであるテザー(USDT)は一時、時価総額が初めて1000億ドル(約15兆円、1ドル150円換算)の大台に達した。

価格プレミアムで1000億ドルに

テザー社のウェブサイトによると、テザーの枚数は約995億枚だったが、一部の取引所でペッグされている1ドルをわずかに上回る価格プレミアムが発生したことにより、時価総額が一時的に1000億ドル以上に押し上げられたという。

ビットコイン(BTC)が過去最高値にさらに近づいた暗号資産取引の盛り上がりの恩恵を受け、テザーの現在の成長ペースが続けば、間もなく再度この大台をしっかりと超えるものと見込まれる。供給量は直近1週間で20億ドル増加した。

2014年にスタートしたステーブルコイン

テザーは最も人気のあるステーブルコインであり、デジタル資産市場における重要な資金経路だ。伝統的な法定通貨とブロックチェーンベースの市場の間の橋渡しとして機能し、市場参加者に取引やレンディングのための流動性を提供している。また、開発途上地域では伝統的な銀行システムを使わずに米ドルにアクセスするために送金・貯蓄用途で使用されるケースも増えている。

テザー社の歴史は2014年に遡る。同社はまずブロックチェーン上での法定通貨の送金を支援するためにビットコインネットワーク上で「リアルコイン(realcoin)」と呼ばれるドルに裏付けられたデジタル通貨を発行した。同年中にリアルコインはテザーにリブランドされた。それ以来、テザーは多数のブロックチェーンで利用できるようになり、テザー社は金や他の通貨にペッグされた複数のステーブルコインを立ち上げた。

テザーの時価総額は2020年から2021年にかけての暗号資産強気市場で急騰し、2022年半ばまでに40億ドルから830億ドルまで成長。中央集権型取引所で暗号資産価格に対する取引ペアとして広く利用されるようになった。

準備資産の管理に批判も2023年に復活

しかしテザー社は、一時は中国のコマーシャルペーパーや破産した暗号資産レンディングのセルシウス(Celsius)に対する債権のようなリスクの高い裏付け資産を抱えていたこと、そして独立した監査がなかったことなどから、不透明な準備金管理をめぐり長年にわたってかなり厳しい監視を受けてきた。同社は現在、米国債や買い戻し契約、マネーマーケットファンドへの預金などのより安全性の高い投資で主に裏付けられていると説明している。

2022年の過酷な暗号資産弱気相場でテザー社の安定性に対する懸念が高まっていたにもかかわらず、テザーは昨年急速に復活し、競合他社から市場シェアを奪った。暗号資産取引所バイナンス(Binance)ブランドのバイナンスUSD(BUSD)に対する規制当局の取り締まりと3月の米地方銀行危機が競合であるサークル(Circle)社発行のUSDコイン(USDC)に大きな影響を与えたことが背景にある。

1400億ドル(約21兆円)のステーブルコイン市場に占めるテザーのシェアは現在70%以上。テザー社は、米金利上昇の恩恵を受けたことでも収益が高まっており、前四半期には主に保有する巨額の米国債の利回りによって28億5000万ドル(約4275億円)の利益が出たことを報告した。

|翻訳・編集:林理南
|画像:Tether
|原文:Tether’s USDT Stablecoin Touches $100B Market Cap, Benefiting From Crypto Trading Frenzy