日米欧などの中央銀行、トークン化プロジェクト「アゴラ」開始──CBDCでの通貨システム強化を狙う

プロジェクト「Agorá(アゴラ)」は、スマートコントラクトとプログラマビリティを使って、民間銀行のトークン化された預金と中央銀行デジタル通貨(CBDC)を統合する、「使用可能な」ソリューションの構築を目指す──国際決済銀行(BIS)の関係者は述べた。

  • プロジェクト「Agorá」は、民間銀行のトークン化された預金とトークン化された中央銀行デジタル通貨(CBDC)を統合する方法を調査し、使用可能なソリューションの構築を目指す。
  • 国際決済銀行(BIS)が発表したプロジェクトには、7つの中央銀行──イングランド銀行、日本銀行、韓国銀行、メキシコ銀行、スイス国立銀行、ニューヨーク連銀、欧州中央銀行が参加している。

国際決済銀行(BIS)が4月3日に発表したプロジェクト「Agorá」は、トークン化(トークナイゼーション)を通して既存の金融システムを改善する方法を模索する。

BISには世界の中央銀行63行が参加しており、各国のデジタル通貨の発行や、暗号資産ネットワークを支える技術を使った市場の効率化に関するさまざまなプロジェクトを実施している。

世界中の金融機関は、現実資産(RWA)のトークン化に積極的に踏み出している。イギリス政府の支援を受けたレポートは、企業にトークン化戦略の実行を促した。金融大手のHSBCは先月、香港の投資家向けにトークン化ゴールド(金)を販売すると発表した。

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一方、21.coのデータによると、パブリックブロックチェーン上でトークン化された米国債は、3月に初めて10億ドル(1500億円、1ドル150円換算)を超えた。

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発表によると、Agorá(ギリシャ語で「広場」を意味する)は、前述の7つの中央銀行と、民間金融機関が連携して調査を行う。

BISは発表の中で、「官民のプログラム可能なコア金融プラットフォームのなかで、トークン化された民間銀行の預金をトークン化されたホールセール中央銀行デジタル通貨とシームレスに統合する方法を調査する」と述べている。

「これにより、2層構造を維持しながら、通貨システムの機能を強化し、スマートコントラクトとプログラマビリティを使った新しいソリューションを提供できる」

BISイノベーション・ハブの責任者、セシリア・スキングスレーCecilia Skingsley)氏は、Agoráは、多数の決済システムを統合することができる、より効率的な決済インフラを探求すると声明にで述べた。

「我々は単にテクノロジーをテストするだけでなく、参加する通貨の特定のオペレーション、規制、法的条件の中で、それらを運用する金融機関とともにテストを行う」と同氏は続けた。

Agoráの目標は野心的なものだとBISのリサーチ責任者、ヒュン・ソン・シン(Hyun Song Shin氏)は3日の記者発表で語った。

「我々は、最終的には非常に使いやすく、本当の意味で変化をもたらすものを目指している。これが実際に使用可能なものであると楽観視している理由は、まさに現行のインフラの上に構築しているからだ」と同氏は述べた。

BISは、Agoráに参加する民間金融機関を募集する予定だ。

|翻訳・編集:CoinDesk JAPAN編集部
|写真:国際決済銀行(BIS)
|原文:Central Bank Group Starts Tokenization Project to Enhance Monetary System