香港のビットコインETF、中国本土の投資家は利用できない可能性が高い:ブルームバーグ
  • ブルームバーグ・インテリジェンスのアナリストらは、中国本土の投資家が最近承認された香港のビットコイン現物ETFの購入を認められる可能性は低いと報告した。
  • 暗号資産を制限しようとしている中国の姿勢を考慮すると、驚きはない。
  • 香港のビットコイン現物ETFは業界全体にとってプラスだが、市場規模が比較的小さいことを考えると、大きな影響は及ぼさない可能性がある。ブルームバーグのアナリストらは、最初の2年間で約10億ドルの流入が見込まれるとしている。

ブルームバーグ・インテリジェンス(Bloomberg Intelligence)のアナリストらは、中国本土の投資家は新たに承認された香港のビットコイン現物ETF(上場投資信託)の購入を認められない可能性が高く、ビットコインETFをめぐる興奮はさらに弱まったと報告した。

中国が2021年に国内でのトークンの取引とマイニングを禁止した後、暗号資産(仮想通貨)に関して世界で最も制限的なスタンスをとっている国の一つであることを考えると、この報告はそれほど驚くことではない。

香港の規制当局は15日月曜日にETFの立ち上げを承認したとされており、新たな資金がビットコインに流入する門戸を開いたことになる。発行体には、ChinaAMC、ハーベスト・グローバル(Harvest Global)、ボセラ・インターナショナル(Bosera International)が含まれる。この承認は、沈黙を維持している香港の証券規制当局である証券先物委員会(SFC)ではなく、発行体自身によって発表された。

中国本土は対象外の可能性

ビットコインの強気派は、価格上昇の次の大きな材料になり得るものとして香港ETFの承認に注目してきた。実際、暗号資産サービスプロバイダーのマトリックスポート(Matrixport)は先週、現物ETFには中国の投資家から250億ドル(約3兆8750億円、1ドル155円換算)もの需要がある可能性があると示唆した。

しかし、今週これ以前ウー・ブロックチェーン(Wu Blockchain)が報告したところによると、発行体は「南向き資金」、つまり中国本土からの資金で新たなETFを購入することは許可されないと述べたという。

香港の証券取引所を運営するHKEXは、この件に関するCoinDeskからのコメント要請に応じなかった。

香港のETF市場は小規模

アメリカのビットコイン現物ETFでは、発売から最初の数カ月間で前例のない規模の流入が見られたが、香港での現物ETF発売は業界全体にとって確かにプラスではあるものの、香港のETF市場自体は発売によって多大な影響をもたらすほどの規模はない。

ビットワイズ(Bitwise)の最高投資責任者(CIO)を務めるマット・ホーガン(Matt Hougan)氏はX(旧Twitter)で、「香港ETFはプラスではあるが、ゲームチェンジャー(状況を一変させるもの)ではない」と述べた。

ブルームバーグのETFアナリスト、エリック・バルチュナス(Eric Balchunas)氏がXで指摘したように、アメリカと香港のETF市場の規模は大きく異なる。同氏は、規模の違いを考慮すると資金の流れはおそらく合計10億ドル(約1550億円)を超えることはないと主張した。10億ドルという数字はそれでも大きなものだが、アメリカのビットコインETFが過去3カ月間に集めた数百億ドルは言うまでもなく、250億ドルという予測に比べれば見劣りする。

シンガポールを拠点とするQCPはCoinDesk宛ての最近のメモで、香港ETFの最良のユースケースは、アメリカに加えて香港でも取引できることで、ETF経由でしか暗号資産取引ができない機関投資家にとって取引時間が増えることかもしれないと述べた。

しかし、ビットコインETFの機関投資家保有分は全体で見るとかなり小規模であり、これまでのSECへの提出書類では、ファンドマネージャーがビットコインETFに向かう大きな動きが起きているわけではないことが示されている。 したがって、このユースケース(もっともなものではあるが)で考えても、誰もが期待していた中国規模の動きになる可能性は低い。

|翻訳・編集:林理南
|画像:Ruslan Bardash / Unsplash
|原文:Hong Kong Bitcoin ETFs Likely Not Available for Mainland Chinese Investors: Bloomberg