
- 市場全体が調整する中、デジタル資産投資家はトークン化された米国債商品に注目し、その時価総額は合計で過去最高の42億ドル(約6200億円、1ドル=148円換算)に達した。
- トークン化された米国債は1月下旬から時価総額が8億ドル増加し、オンド・ファイナンス(Ondo Finance)の2つのトークン、ブラックロック(BlackRock)のBUIDL、フランクリン・テンプルトン(Franklin Templeton)のBENJI、スーパーステート(Superstate)のUSTBがこの1カ月ですべて成長した。ハッシュノート(Hashnote)のUSYCは、時価総額が減少した。
- rwa.xyzのリサーチ責任者であるブライアン・チョー(Brian Choe)氏は、暗号資産(仮想通貨)低迷の中でトークン化された国債の伸びがステーブルコインを上回ったのは、投資家がより安全な利回り付き資産にシフトした「質への逃避」と見ていると述べた。
ここ数週間、暗号資産が市場全体の調整で打撃を受ける中、デジタル資産投資家はトークン化された米国債商品に避難先を求めている。
データソースのrwa.xyzによると、1月下旬以降、米国債が裏付けとなっているトークンの時価総額は合計で8億ドル増加し、3月12日には42億ドルの史上最高記録を更新した。
現実資産(RWA)プラットフォーム、オンド・ファイナンスの製品である、短期国債を裏付けとしたOUSGとUSDYトークンは、時価総額が合計で10億ドル弱まで増加し、過去1カ月では53%も急増した。
資産運用会社ブラックロックとトークン化会社セキュリタイズ(Securitize)が共同で発行したトークンBUIDLの時価総額は、同期間に25%増加し、時価総額8億ドルを突破した。資産運用会社フランクリン・テンプルトンのBENJIトークンの時価総額は16%増の6億8700万ドル、スーパーステートのUSTBは63%以上増の3億6300万ドルを記録した。
特筆すべき例外はハッシュノートのUSYCで、時価総額は20%以上減少して9億ドルとなった。これは主に、投資家の反発を受けたDeFiプロトコル、Usualの低迷が原因である。USYCトークンは、UsualのUSD0ステーブルコインの主要な裏付け資産であり、USD0の供給高は1月のピークである18億ドルから10億ドル以下に急速に減少した。
rwa.xyzのリサーチ責任者であるブライアン・チョー氏はCoinDeskに、「最近の暗号資産低迷の中でのトークン化された国債の時価総額の増加は、伝統的な投資家が不安定な経済の中で株式から米国債にシフトするのと同様に、質への逃避を反映していると考えている」と語った。
チョー氏の見解は、暗号資産市場が値上がりした11月から1月にかけてと、価格の調整が起こった2月以降の2つの期間の、トークン化された国債の時価総額の伸びをステーブルコインと比較した分析に基づいている。
最近の弱気局面では、トークン化された国債はステーブルコインを上回るペースで成長しており、ステーブルコインの成長が国債トークン市場を上回った強気局面とは対照的である。

「これは、一部の投資家がエコシステムから撤退しているのではなく、市況が改善するまで、より安全な利回り付き資産に資金を移動させていることを示している」と、チョー氏は指摘する。
|翻訳・編集:山口晶子
|画像:Ryan Quintal/Unsplash(CoinDeskが加工)
|原文:Tokenized Treasuries Hit Record $4.2B Market Cap as Crypto Correction Fuels Growth