ストラテジー株、上昇の可能性──競合トゥエンティ・ワン登場がビットコイン戦略を実証
  • TDコーエンは、トゥエンティ・ワンのビットコイン重視の構造がストラテジーの構造と似ており、その財務戦略を肯定するものだと指摘している。
  • TDコーエンはこれを、ストラテジーのビットコイン財務モデルに対するこれまでで最も重要な実証であるとしている。
  • アナリストらはストラテジーの目標株価を550ドルに据え置き、2027年末までにビットコイン保有額が1290億ドルに達すると予測している。

マイケル・セイラー(Michael Saylor)氏のビットコイン(BTC)購入戦略には賛否両論があった。しかし、ここにきて新たなライバル企業が登場した。そのバランスシート(貸借対照表)上には既に40億ドル(約5600億円、1ドル140円換算)近くのビットコインが保有されている。少なくとも1人のウォール街のアナリストは、これは強気の兆候だとしている。

ソフトバンク、テザー(Tether)、そしてキャンター・フィッツジェラルド(Cantor Fitzgerald)が、ビットコインを主要事業として保有することを明確に中心に据えて構築される新たなビットコイン投資会社トゥエンティ・ワン(Twenty One)の設立計画を発表した際、多くの人がこれをセイラー氏が率いるストラテジー(Strategy)の強力なライバルであるとみなした。設立初日のバランスシート上のビットコイン保有量は、公開企業として世界で3番目のビットコイン保有額となるだろう。

伝統的金融においては、こうした大規模な競争は、支配的な企業の市場シェアと資金調達の機会を阻害する可能性があると指摘されるかもしれない。特にトゥエンティ・ワンは、すでに4万2000BTC(現物価格で約40億ドル相当)超を保有した状態で設立される可能性があるためだ。

しかし、TDコーエンのアナリストであるランス・ヴィタンザ(Lance Vitanza)氏とジョナサン・ナバレテ(Jonathan Navarrete)氏は全く逆の見方をしている。両氏は、「トゥエンティ・ワンの設立提案は、ストラテジーのビットコイン財務資産運用の、これまでで最も意義深い実証を反映している」とし、ストラテジー株に対して「徐々に強気」になっている。

アナリストらは、この新たなライバル企業によって、ストラテジーに最も懐疑的だった機関投資家でさえ、セイラー氏のビットコイン購入戦略の信奉者に変わる可能性があると指摘した。また、この動きは、著名な新規参入者によるビットコイン需要の増加にもつながる。これはストラテジーの資本コストへの圧力を上回り、より多くの資金がビットコイン購入に流入する可能性がある。

アナリストらは、「まさにこれがマイケル・セイラー氏が信じていると公言していることだ」とし、セイラー氏が長らく、より多くの企業に同様の戦略を採用するよう働きかけてきたことを指摘している。

TDコーエンはストラテジーの目標株価を550ドル(約7万7000円)に据え置き、同社が2027年度末までに75万7000BTC(ビットコイン総供給量の約3.6%)を保有する可能性があると予測している。アナリストらによれば、ビットコインがその時までに平均価格17万ドルに達した場合、保有額は1290億ドル(約18兆600億円)に達する可能性があるとコーエンは推計している。

この競争による強気な影響は既に市場に顕著に表れている。トゥエンティ・ワンのSPAC(特別買収目的会社)であるキャンター・エクイティ・パートナーズ(Cantor Equity Partners)の株価は、発表以来既に130%上昇しており、ストラテジー株も堅調に推移している。

|翻訳・編集:林理南
|画像:Shutterstock
|原文:Strategy Stock Could Climb as New Rival Twenty One Validates Its Bitcoin Strategy