中国デジタル人民元は、小売り決済から:中央銀行元総裁

中国が中央銀行デジタル通貨で目指す最初のゴールの1つは、小売り業界における決済の円滑化である。元中央銀行総裁が2019年11月25日に明らかにした。

経済・ビジネス系のニュースに特化した財新メディアの報道によれば、中国の中央銀行にあたる中国人民銀行の元総裁、周小川(Zhou Xiaochuan)氏は、珠海市で開かれた財新横琴フォーラムにおいて、中国はデジタル人民元に関して、小売店におけるデジタル決済の利用に力を入れると発言した。

「国際的なデジタル通貨には2つの目標があります」と周氏は述べ、次のように続けた。「1つ目は、中国が思い描いているものでもありますが、デジタル決済を開発し、国内の小売りシステムにおいてその利用を発展させるというものです。もう1つは、国際的金融機関向けの国境を超えた決済です」

周氏によれば、これら2つの目標のために、デジタル人民元には異なる技術的設計が必要であり、中国は小売り業界におけるデジタル決済機能を組み入れた後、その能力を拡張していく可能性もある。

中国は新しいデジタル通貨を試験するには困難な環境であり、人口の少ない国の方が、通貨が流通する周期が短いためにより望ましいと周氏は指摘した。

「何か問題が起こった場合に、別の方向に舵をとるのがより楽になります」と周氏は説明した。

中国当局からのメッセージか

周氏は中国人民銀行のトップの座から退いてはいるが、彼の発言は同行がどのようにデジタル通貨電子決済(DCEP)と呼ばれるデジタル通貨をローンチするかという点において、当局からの意義深いメッセージと受け取ることができる。

北京に拠点を置き、金融テクノロジーに特化したベンチャーキャピタル「ニルバーナ・キャピタル(Nirvana Capital)」のパートナー、メーブル・ジャン(Mable Jiang)氏は、中国政府は伝統的に、公式の発表を行う前に、元高官を通じて穏やかなメッセージを送るという傾向があると述べた。

「周氏が説明した通り人口が少なく、良好なインターネットインフラの整った経済圏において、DCEPの小売りにおける利用を中国が熱心に促進し始めるという、重要なメッセージだと思います」とジャン氏は主張した。

翻訳:山口晶子
編集:T. Minamoto
写真:Shutterstock
原文:China’s Digital Yuan Will Target Retail Payments First, Ex-Central Banker Says