イーサリアムの次なるアップグレード「Fusaka」、レイヤー2とバリデーターのコスト削減の可能性

- イーサリアムのコア開発者らは、すでに次の主要なアップグレード「フサカ(Fusaka)」に焦点を移している。
- フサカは現在、2025年末に実施される予定だ。しかし、イーサリアムの開発者らは、アップグレードを延期することで悪名高い。
- 開発者らはこれまでのところ、「PeerDAS」と名付けられたデータの可用性に焦点を当てたイーサリアム改善提案(EIP)という技術的変更をフサカに含めることで合意している。
先週、ここ1年以上で最大のアップグレードであるペクトラ(Pectra)のデプロイが成功した後、イーサリアムネットワークのコア開発者らはすでに、次の主要なアップグレード「フサカ」に焦点を移している。
ペクトラは、2022年のマージ(Merge)以来、イーサリアムにとって最大のコード変更であり、機関投資家にとってステーキングを容易にし、ウォレットへのアクセス性を向上させ、取引効率を高めることを目的とした重要な変更が導入された。
開発者らはすでに、ネットワークの次のアップグレードであるフサカの計画を始めており、ネットワークがより大きな取引データの「ブロブ」をサポートするのに役立つ「PeerDAS」と呼ばれるイーサリアム改善提案(EIP)を含めることに今のところ合意している。
デンクン(Dencun)のアップグレードで導入されたブロブは、トランザクションに関連する大きなデータの塊のための専用スペースである。
これらはオフチェーンで保存されるため、イーサリアムブロックチェーン上の混雑を緩和し、ガス代を下げることができる。ブロブは、アービトラム(Arbitrum)、オプティミズム(Optimism)、コインベース(Coinbase)のベース(Base)など、イーサリアム上に構築され、メインチェーンよりも迅速かつ低コストで取引を処理することのできるレイヤー2のエコシステムにとって極めて重要である。
PeerDASはPeer Data Availability Samplingの略で、バリデーターがネットワークにデータがポストされたかどうかを検証するために、ブロブ全体ではなくブロブから部分的なデータをダウンロードできるようにするものである。
理論的には、PeerDASはレイヤー2の取引コストを削減し、イーサリアムのブロックチェーン上でバリデーターを運用する機関に利益をもたらす可能性がある。
「我々はレイヤー2のスケールアップを支援したいと考えているので、PeerDASは非常に重要だ」と、イーサリアム財団の開発エンジニアであるパリトシュ・ジャヤンティ(Parithosh Jayanti)氏は語り、次のように続けた。「PeerDASのおかげで、ブロブの限界を大幅に引き上げることができる」。
フサカは2025年末に実施予定で、最終的にはPeerDAS以外の追加のアップグレードも含まれる予定だ。しかし、イーサリアムの開発者はアップグレードを延期することで悪名高い。
ペクトラは当初、2024年末にリリースされる予定だったが、2025年第1四半期に延期された。いくつかのテストが失敗に終わった後、開発者らはさらにアップグレードを5月に延期した。
イーサリアムの開発者らは過去1年間、プロトコルの変更を迅速に実施しなかったとして批判されてきた。イーサリアム(ETH)価格はここ数カ月低迷し、開発者らは競合するエコシステムに移行しているため、イーサリアムチェーンのコミュニティは、非公式なリーダーである非営利のイーサリアム財団に責任があるかどうかを議論している。
|翻訳・編集:山口晶子
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|原文:Ethereum’s Next Upgrade ‘Fusaka’ Could Cut Layer-2 and Validator Costs