ビットコイン、昨年7月以来で最低の月間成長率か──ETFへの流入をクジラが相殺
  • ビットコインは6月に2%強の上昇となる見込みであり、これは昨年7月以来で最低のパフォーマンスだ。
  • ETFの買いが続いているにもかかわらず、クジラや小口保有者は売りに傾いている。
  • グラスノードのデータによれば、利益確定の動きは鈍化している。

ビットコイン(BTC)は、現物ETF(上場投資信託)への継続的な流入と、クジラや小口ウォレットによるオンチェーンでの売りの兆候という不可解な組み合わせの中、ここ1年で最も低い月間パフォーマンスを記録する見込みだ。

CoinDeskのデータによれば、本記事執筆時点でビットコインは約10万7000ドル(約1552万円、1ドル145円換算)で取引されており、月間ではわずか2%の上昇となる。月間上昇率としては昨年7月以来で最低だ。

アメリカの現物ETFは引き続き堅調な買いが続いており、純流入の週が連続して金額は39億ドル(約5655億円、1ドル145円換算)を記録している。そのため、この冴えない価格変動は不可解に映る。さらに、企業のトレジャリー(財務)における採用は世界的に早いペースで続いている。

クジラの売り

しかしながら、グラスノード(Glassnode)から得られるオンチェーンデータ、特に様々なウォレットコホート(集団)の行動を分析する「蓄積トレンド・スコア(Accumulation Trend Score)」と呼ばれる重要な指標によれば、見通しは明るくない。

この指標は、エンティティ(主体)の規模と過去15日間に獲得したビットコインの量に基づいて、各コホートの相対的な蓄積の強さを測定する。値が1に近いほど、そのコホートの参加者がコインを蓄積していることを示し、値が0に近いほどコインを売っていることを示す。取引所やマイナーなどのエンティティはこの計算から除外されている。

現在、10BTCから1万BTCの残高を持つ保有者は蓄積モードにあるが、その行動は売りと買いの間で変動しており、一貫した買い手または売り手というよりは、機会主義的なトレーダーであることを示している。一方、1万BTC以上を保有する大口保有者(クジラ)は、保有資産を売る方向にわずかに傾いており、小口保有者も純売却者である。

保ち合い段階

2025年1月から4月の間はすべてのコホートで売りが優勢だったが、4月にビットコインが7万6000ドル(約1102万円)付近で底を打つと、蓄積が再開された。現在、ビットコインは再び保ち合い段階に入ったようだ。

グラスノードは最新のレポート「Week On-Chain」で、利益確定の動きが鈍化し始めていると示唆した。実現利益は、今回のサイクルでは6500億ドル(約94兆円)に達した。前回のサイクルでは5500億ドルだった。グラスノードはこの傾向を市場の冷え込みによるものとした。こうした状況が、現在進行中の保ち合い期間を一層際立たせている。

|翻訳・編集:林理南
|画像:CoinDesk
|原文:Bitcoin Faces Weakest Monthly Growth Since July as Whales Counteract ETF Inflows