ビットコイン、11万ドル付近まで反発──変動激しい7月の予兆となるか

- ビットコインは最近の狭い価格帯を突破し、約1カ月ぶりに11万ドルに迫る展開となった。
- トランプ米大統領がベトナムとの貿易協定を発表したことや、新しいソラナ・ステーキングETFの初日の取引が好調だったことが、市場心理を後押しした可能性がある。
- 7月は、予算案、関税の猶予期限、ビットコイン戦略的備蓄に関するアップデートなど、米国の政策変更の影響でビットコインが変動しやすい月になる可能性があると、K33のリサーチ責任者は述べた。
ビットコイン(BTC)は7月2日、11万ドルに向けて急騰しており、一時的なリスクオフの波で価格が10万6000ドルを下回った前日の低迷を脱している。
ビットコインは過去24時間で3.5%上昇し、6月11日以来の最高値である約10万9500ドルで取引されている。
この値動きは、ドナルド・トランプ米大統領がベトナムとの貿易協定を発表し、リスク資産全般に好影響を与えたことを受けたものだ。ナスダックは米国時間正午、0.8%上昇している。
この協定に基づき、米国はベトナムからの輸入品に20%の関税、ベトナムを経由して米国に輸送される積み替え品に40%の関税を課すことになる。一方、米国からの輸出品がベトナム市場に入る際には、関税は課されない。
暗号資産(仮想通貨)のセンチメントを特に押し上げているのは、米国で初めて販売された暗号資産ステーキングETF(上場投資信託)である、レックス-オスプレイ・ソラナ+ステーキングETF(REX-Osprey Solana + Staking ETF:SSK)のデビューである可能性がある。
「SSKの取引高は2000万ドル(約29億円、1ドル=144円換算)という非常に強い水準で、新規上場銘柄の上位1%に入る」と、ブルームバーグのアナリスト、エリック・バルチュナス(Eric Balchunas)氏は指摘した。
バルチュナス氏によれば、3月に取引を開始した先物ベースのソラナ(SOL)ETFであるSOLZの初日の取引高は、わずか100万ドルであった。
7月は大きな動き(どちらの方向にも)が見込まれる
トランプ政権の政策により、7月はビットコインにとって変動の激しい月となる可能性があると、K33のリサーチ責任者ヴェトレ・ルンデ(Vetle Lunde)氏は語る。
トランプ氏は、4日までには「ビッグ・ビューティフル・ビル」と呼ばれる、議論の的となっている減税・歳出法案に署名すると予想されている。
この法案は米国の赤字を3兆3000億ドル拡大する可能性があり、一部ではビットコインのような希少資産にとって好材料と見られていると、ルンデ氏は指摘した。
もう一つの重要な日程は7月9日の関税猶予期限で、トランプ氏がより攻撃的な貿易姿勢を示す可能性がある。
さらに、7月22日は待望の暗号資産に関する大統領令をめぐる措置の最終期限で、米国の戦略的ビットコイン備蓄に関する更新情報が発表される可能性がある。
「7月はトランプ氏による潜在的な変動要因が満載だ」とルンデ氏は述べ、それでも、暗号資産市場は過剰なフロス(泡)なしに比較的落ち着いていると指摘した。
「暗号資産市場の広範なデレバレッジを予想する理由はほとんどない。暗号資産のレバレッジは抑制されているためだ」と、ルンデ氏は述べ、次のように続けた。
「このような状況では、季節的な無関心が特徴の期間に突入する中で、現物ポジションを維持し、忍耐強く待つことが有利になる」。
|翻訳・編集:山口晶子
|画像:ビットコインの値動き(CoinDesk)
|原文:Bitcoin Rebounds Toward $110K, Presaging What Could Be a Volatile July