シティステーブルコインの発行を検討中:シティグループCEO
  • シティグループは自社独自のステーブルコインの発行を検討しているが、トークン化された預金が依然として同社の最優先事項である。
  • CEOのジェーン・フレイザー(Jane Fraser)氏は、デジタル資産が支払い、融資、流動性のデジタル化における次の段階を象徴していると述べた。
  • シティは、準備資産管理、法定通貨と暗号資産(仮想通貨)の変換、トークン化された預金、および暗号資産のカストディに関するソリューションの開発を進めている。

シティグループのCEOであるジェーン・フレイザー氏は、自社独自のステーブルコイン発行の可能性も含め、同社がデジタル資産関連の開発を積極的に進めていると述べた。

フレイザー氏は、2025年第2四半期の決算説明会における質疑応答のセクションで、「シティステーブルコインの発行を検討している」と述べた。

ただし、フレイザー氏は、トークン化された預金が現在のより直近の焦点であることを明確にした。さらに、これらのイノベーションがシティの内部業務の最新化、新たな収益源の開拓、顧客の獲得を支えていると付け加えた。

フレイザー氏のコメントは、今年デジタル資産業界でステーブルコインが注目を集めている中で出されたものである。暗号資産企業や伝統的な銀行が次々とステーブルコイン分野に参入しており、取引や国境を超えた決済においてステーブルコインがますます利用されるようになっている。

シティのリサーチチームは、ステーブルコインの成長に牽引され、今年がブロックチェーンの採用において転換点となる年になる可能性があると指摘。2030年までに、主に米ドルに連動したステーブルコイン市場は最大3兆3000億ドル(約550兆円、1ドル=149円換算)まで拡大する可能性があると予測している。

JPモルガン(JPMorgan)のCEOで、暗号資産に懐疑的な姿勢を示してきたジェイミー・ダイモン(Jamie Dimon)氏さえも先日、同行がステーブルコインへの関与を強化する計画だと述べた。

シティのフレイザー氏は、同行がデジタル資産を金融の広範なデジタル化における次のステップと位置付けていると述べた。

シティの戦略は、顧客のニーズに応えるため、シームレスで国境を越えた多銀行対応の常時利用可能な、コンプライアンス、報告、会計機能を備えたソリューションを提供することに焦点を当てていると、フレイザー氏は強調した。

フレイザー氏によると、シティが追求する4つの主要分野は、ステーブルコインの準備資産管理、法定通貨とデジタル通貨間のオン・オフランプ、暗号資産のカストディサービス、トークン化された預金である。そしてそのうち、トークン化された預金が最も活発な領域だ。

シティのステーブルコインに関する前向きなコメントは、いわゆる「クリプト・ウィーク」中に発表された。この期間中、米議会は、ステーブルコインや他のデジタル資産に関する規制の明確化を目的とした複数の法案を可決する予定であった。

しかし、7月14日に下院議員連盟「フリーダム・コーカス」が上院主導で進められた一部の立法プロセスに反対したため、法案の可決は困難に直面した。

シティグループは、2025年第2四半期の純利益が40億ドル(希薄化後1株当たり1.96ドル)と、前年同期の32億ドル(1株当たり1.52ドル)から増加したと報告した。

売上高は217億ドルに増加し、2024年第2四半期比8%の増加となった。これは、シティの5つの主要事業部門すべての成長に支えられたものである。

|翻訳・編集:山口晶子
|画像:John Gomez / Shutterstock.com
|原文:Citigroup CEO Confirms the Bank Is ‘Looking at the Issuance of a Citi Stablecoin’