ビットコインの利益確定、史上最高値付近でも控えめ
  • ビットコインは史上最高値付近で取引されているが、1日あたりの実現利益は7億5000万ドルを下回っている。これは、1月と7月のピーク時に記録された20億ドルよりはるかに小さい。
  • 長期保有者が引き続き利益確定の動きを主導しており、短期保有者による利益確定の急増は大幅な価格上昇時にのみ発生している。

過去5日間では、ビットコイン(BTC)は11万6000ドル(約1682万円、1ドル145円換算)から12万2000ドル強まで急騰した後、本記事執筆時点では11万9000ドルまで反落した。このような価格変動がありながらも、利益確定の動きは依然として控えめであり、年初来の平均値で1日あたり7億5000万ドル(約1088億円)を下回っている。

なお、グラスノード(Glassnode)のデータによれば、1月の1日あたりの実現利益は約20億ドル(約2900億円)であり、ビットコインが史上最高値である12万3000ドルに到達した7月にも同様の急増がみられた。

グラスノードの実現利益(Realized Profit)指標は、売却価格が取得価格を上回ったすべての使用済みコインの総利益を測定するもの。長期保有者と短期保有者に分類すれば、市場の動きを詳細に把握できる。この分類は加重平均取得日に基づいており、長期保有者の供給量については約155日以上保有されているものと定義されている。

データでは、長期保有者が一貫して短期保有者よりもはるかに多くの利益を実現していることが示されている。例外となるのは7月であり、ビットコインが史上最高値を更新した際に短期保有者の実現利益が急増した。こうした短期的な利益の多くは、ビットコインが7万6000ドルまで下落した3月の「関税ショック」による売りの際に買いを入れた投資家によるものと考えられる。

特に過去の市場ピーク時と比べて実現利益確定の水準が現在低い点は、ビットコインの強気な見通しにとって明るい材料となる。これは、長期保有者と短期保有者のどちらも、大部分は最近の価格上昇にもかかわらず利益確定を控えていることを示している。この傾向が続けば、史上最高値更新に向けた上昇に必要となる安定と勢いを市場にもたらす可能性がある。

|翻訳・編集:林理南
|画像:ビットコイン:長期保有者/短期保有者の実現利益(グラスノード)
|原文:Bitcoin Profit Taking Appears Modest Even Near All-Time High