- 香港当局は、顧客資産を保護するため、認可を受けた暗号資産取引所に対し、新たな保管要件を導入した。
- このガイドラインは、管理責任、コールドウォレットの運用、リアルタイムの脅威監視に関する基準を定めたものだ。
- これらの措置は、香港がシンガポールとの差別化を図り、アジアの暗号資産ハブとなるための戦略の一環だ。
香港の証券監督当局は、認可を受けた暗号資産(仮想通貨)取引所に対する新たなカストディ(保管)要件を導入した。アジアの暗号資産ハブを目指す香港の取り組みの一環で、顧客資産保護を強化するものだ。
香港の証券・先物取引監察委員会(SFC)は8月15日に出した通達の中で、認可を受けた暗号資産取引プラットフォーム(VATP)の最低基準を定めた。これには、上級管理職の責任、コールドウォレットの運用、サードパーティのウォレットソリューションの利用、リアルタイムの脅威監視などが含まれる。
この動きは、今年初めに当局が実施した重点的な調査で、一部の既存取引所のサイバーセキュリティと保管管理体制に「不備」が見つかったことを受けて行われた。また、このガイドラインは、より広範な暗号資産カストディアンに対する要求の基盤ともなっている。
香港は、商品の拡充と資産保護に関する厳格な規則を組み合わせることで、個人向け暗号資産サービスに対してより厳しい姿勢を取っている地域のライバル国、シンガポールとの差別化を図ろうとしている。
この発表は、2月に香港で開催されたCoinDesk主催の「Consensus Hongkong 2025」で明らかにされたSFCのASPIRe戦略における「インフラ」と「セーフガード」に直接結びついている。この戦略は、流動性の断片化、規制裁定、市場ボラティリティに対処しつつ、規制対象商品・サービスの範囲を拡大するための5本の柱からなる計画を概説している。
カストディサービスへの取り組みは、市場アクセスの拡大と監督強化を目的とした今年実施された一連の規制措置に続くものだ。
2月、SFCは店頭取引(OTC)およびカストディサービスに関する新たなライセンス制度を発表するとともに、暗号資産のデリバティブ取引および証拠金取引の見直しも発表した。また、4月には、厳格な資産管理とリスク開示要件を条件に、認可を受けた取引所およびファンドによるステーキングサービスを承認した。
|翻訳:CoinDesk JAPAN
|編集:井上俊彦
|画像:Shutterstock
|原文:Hong Kong Regulator Tightens Custody Standards for Licensed Crypto Exchanges


