- イーサリアムは今年前半に急激に下落した後、現在では年初来で30%近く上昇し、資金が回転する中でビットコインの優位性に挑戦していると、シティ(Citi)のレポートは伝えた。
- シティは、機関投資家からの資金流入が加速していると指摘した。イーサリアム現物ETF(上場投資信託)への資金流入は130億ドルを超え、トレジャリー企業は保有高を約100億ドルにまで増やしている。
- シティによると、大規模ウォレットがトークンを取引所から移動させているため、オンチェーンでの蓄積が増加している。これは、ネットワーク活動の改善と相まって、潜在的なスクイーズのダイナミクスを生み出す可能性がある。
ウォール街の銀行シティは8月19日発表のリサーチレポートで、今年前半に55%以上の下落を経験し、トランプ関税が引き起こしたリスクオフセンチメントの中で他の暗号資産(仮想通貨)に遅れをとっていたイーサリアム(ETH)が、強力な反発を見せていると述べた。
時価総額で2番目に大きな暗号資産であるイーサリアムは現在、年初来で30%近く上昇しており、昨年後半以来見られなかった形でビットコイン(BTC)の優位性に挑んでいる。しかも今回は、イーサリアムが市場シェアを奪っている状況であると、レポートは指摘した。
アナリストのアレックス・ソーンダース(Alex Saunders)氏とナサニエル・ルパート(Nathaniel Rupert)氏によると、イーサリアム現物ETFの需要が急増した。累積純流入額は現在130億ドル(約1兆9000億円、1ドル=147円換算)を超え、4月のわずか26億ドルから大幅に増加した。
アナリストらは、ETFの運用資産残高が増加するにつれて、資金の流れが価格のダイナミクスにおいてより直接的な役割を果たしていると述べた。
イーサリアムトレジャリー企業も、5月に大規模な購入を開始し、この流れに加わった。これらの企業の総保有高は現在の価格で100億ドル近くに達しており、これらの企業の株式評価額もイーサリアムの上昇とともに拡大したと、レポートは指摘した。
ブロックチェーンのデータは、大規模ウォレットがイーサリアムを蓄積する一方で、小規模投資家がエクスポージャーを減らしていることを示している。
中央集権型取引所のイーサリアム残高は引き続き減少しており、供給がオンチェーンに戻るシフトを示している。このダイナミクスは、スクイーズのような効果を生み出し、最新の上昇を増幅させる可能性があると、同レポートは付け加えた。
今回の上昇は急激なものであるが、シティのアナリストらはそれが純粋なテクニカルな動きではないと指摘している。
オンチェーンでの活動が活発化しており、より強いファンダメンタルズでこの動きを補強している。これは、「ゴルディロックス」(熱すぎず、冷たすぎない)環境に似たマクロ経済の背景と相まって、特に支援的な規制シグナルと強気なナラティブが作用していることから、イーサリアムの再興は継続する可能性がある。
|翻訳・編集:山口晶子
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|原文:Ether Resurgence Gains Steam Backed by Spot ETF Demand and On-Chain Growth: Citi


