- コインベース・インスティテューショナルの第4四半期予測によると、流動性の状況と政策の進展に支えられ、年末にかけても相場は依然としてプラス方向に傾いている。ただし短期的な脆弱性は残る。
- コインベースは、ステーブルコインとETFの供給が暗号資産の基盤を強化していると述べている。ビットコインが主導権を握ると予想する一方、イーサリアムはより安価で大規模なブロックスペースを持つため、前向きな見通しを示している。
- この報告書では、11月の流動性低下の可能性、アメリカ経済指標の未発表、そして暗号資産トレジャリー企業をめぐる不確実性について警告している。
コインベース・インスティテューショナル(Coinbase Institutional)がグラスノード(Glassnode)と共同で作成した2025年第4四半期報告書「2025年第4四半期の暗号資産市場分析:不確実な環境をどう進むのか(Charting Crypto Q4 2025: Navigating Uncertainty)」によれば、暗号資産(仮想通貨)の年末の相場は依然として強気の傾向にある。
彼らは、10月10日の調整後に慎重ながらも上昇バイアスを帯びた姿勢を表明した。価格下落はレバレッジ取引が薄商いのオーダーブックと衝突した結果と分析し、一部の取引所の自動デレバレッジ機能がマーケットメイカーのショートポジションを制限し流動性を枯渇させたことで悪化したと指摘している。週末にかけて価格は安定したが、マクロ不安の再燃で相場は依然として慎重な動きを見せていると述べた。
流動性とマクロ環境がコインベースの見通しの核心だ。
同社のグローバルM2マネーサプライ指数(コインベースによると、この指数は歴史的にビットコインの動きを追っており、約110日先行する傾向がある)は、四半期の初めは好調なスタートを切ったが、報告書は第4四半期後半に状況が逼迫する可能性があると警告している。コインベースはまた、年末までにアメリカ連邦準備制度理事会(FRB)が追加で2回の利下げを実施すると予測した。この変化がマネーマーケットファンド(MMF)から資金を引き出し、リスク資産へ回帰させる可能性があると見ている。
政策と市場の基盤が、コインベースが「建設的な環境」と呼ぶ状況を補完している。
報告書はステーブルコインの供給量と月間取引高が過去最高水準にあることを強調している。コインベースによれば、これはより多くの決済や送金がオンチェーンで処理されている証拠だ。またビットコイン(BTC)とイーサリアム(ETH)の現物ETF(上場投資信託)がインフラとして深化を続け、伝統的投資家のアクセス改善と市場の流動性強化に寄与していると指摘する。こうした進展は表層的な話題ではなく、ボラティリティの高い状況でも利用と流動性を維持するための基盤となるものだとコインベースは主張する。
ポジションについては、財政・金融規律への疑念が続く中での「デジタルゴールド」としての役割を理由に、コインベースはビットコインを推奨している。イーサリアムについても建設的な見解を示している。スケーリングの進展によりレイヤー2ネットワークの活動が拡大し、手数料は低下、年初からセンチメントが改善しているからだ。報告書の中の投資家への調査結果では、マクロ環境を最大のリスクと指摘する声が多い一方で、機関投資家の大半が今後3~6カ月ではBTCを強気と見ていることが明らかになった。
コインベースは暗号資産財務企業(DAT)にも言及し、BTCとETHの重要な安定的買い手と位置付けている。そのような流通供給量の顕著なシェアを保有し、需要源として重要性を維持していると指摘する。一方で、特に最近の株式市場低迷を受けて、長期的なビジネスモデルとしては疑問が残ると認めている。
報告書は短期的なリスクも否定していない。コインベースは、政府閉鎖に伴うアメリカの経済指標の欠如、11月の流動性減退リスク、DAT関連の不確実性を理由に、規模と投資期間を厳格に管理し続けるべき理由として挙げている。
しかし、コインベース・インスティテューショナルの結論は揺るがない。流動性環境、政策進展、ステーブルコイン主導のオンチェーン利用拡大、成熟するETF基盤は年末まで引き続き支援材料であり、これらの支えが持続すれば、ビットコインは主導権を握る最良の立場にある。
|翻訳:CoinDesk JAPAN
|編集:井上俊彦
|画像:Shutterstock
|原文:Coinbase Institutional Highlights Three Catalysts That Could Lift Crypto in Q4 2025


