- 世界最大の上場ビットコイン保有企業であるストラテジーのmNAVが2.5から1.23に低下し、著名な空売り投資家のジム・チェイノス氏は、11カ月続けていたストラテジー株のショートとビットコインのロングというポジションを解消した。
- 今回の動きは、メタプラネットやKindlyMDといったビットコイン保有企業が急激な株価下落に見舞われる中、ストラテジーが主要企業の中で唯一ディスカウント価格で取引されていない状況で起こった。
ビットコイン(BTC)トレジャリー企業の株価暴落は、ついに底を打ったかもしれない。
2001年のエンロン(Enron)の崩壊を予想したことで知られる著名な空売り投資家、ジム・チェイノス(Jim Chanos)氏は、ストラテジー(Strategy)のポジションを解消したと述べ、これにより11カ月間にわたるストラテジー株のショートとビットコインのロングという取引が終了した。ショートとは借りた株式を売却する取引であり、株価の下落に賭けるものだ。ポジションの解消は、株価がさらに下落する可能性は低いと判断したことを示唆している。
企業価値の過大評価や会計上の不正を暴くことで知られるチェイノス氏は、ストラテジーの企業価値(永久優先株や転換社債を含む数値)がビットコイン保有額を大幅に上回った時点で、同社を標的にした。当時、ストラテジーのmNAV(市場純資産価値)は2.5であり、保有するビットコインの価値に対して大幅なプレミアムが付いていた。
チェイノス氏はXに投稿したメモの中で、ストラテジー株が2025年のピークから約50%下落したと述べた。mNAVは1.23まで圧縮され、同氏が率いるChanos & Co.はこの取引を解消することを推奨した。
評価額の圧縮と、ストラテジーによる普通株の継続的な発行が相まって、ポジション解消は成功裏に終わった。チェイノス氏は、mNAVがさらに圧縮され、プレミアムが最終的に1.0付近、つまり保有ビットコインの価値とほぼ同等になる可能性はあるものの、主要な投資テーマは概ね実現したと付け加えた。
ストラテジーは世界最大の上場ビットコイン保有企業であり、現在の価格で約680億ドル(約10兆4720億円、1ドル154円換算)相当の64万1205BTCをバランスシート上に保有している。他のビットコイン保有企業はいずれも、このサイクルで一時的にディスカウント状態に陥ったが、バージニア州タイソンズコーナーに拠点を置くストラテジーは、プレミアムを維持してきた。
今回のポジション解消は、ビットコイントレジャリーセクターにとって激動の年となる中で起こり、メタプラネット(Metaplanet)やKindlyMDといった大手企業の株価は、史上最高値から80%超急落した。
11月7日、ビットコインが10万5000ドル超に反発し、年初来の上昇率を約14%に拡大する中、ストラテジー株は年初来安値を更新し、約20%下落した。ストラテジー株のショートとビットコインのロングという取引の解消は、ビットコイントレジャリー企業の株価の底打ちを示している可能性がある。
ストラテジー株はプレマーケット取引で3%上昇し、1株あたり248ドルで取引されている。
|翻訳・編集:廣瀬優香
|画像:ジム・チェイノス氏(CoinDesk Archives)
|原文:Is This the Indicator That Bitcoin Treasury Companies Have Hit a Bottom?


