暗号資産(仮想通貨)取引所コインチェックは11月11日正午、IEO(Initial Exchange Offering)で販売した暗号資産「ファンプラ(FPL)」の取引を開始した。
販売価格である1円に対し、取引開始直後に一時1.5円まで高騰したものの、その後は売りが優勢となり急落。
取引開始から約1時間後の13時には一時0.3円台まで下落し、公募価格を大きく下回る水準での推移となった。

FPLは、国内では約1年ぶりとなるIEO案件として実施された。
11月7日に公表された販売結果では、申込総額が90億円を超え、申込倍率は9.06倍に達するなど、事前の投資家からの関心は高い水準にあったが…。
国内のIEO市場を巡っては、その実績と規制のあり方がまさに議論の渦中にある。
過去の案件の多くが上場後に公募価格を維持できず価格が大幅に下落しており、暗号資産の法整備を議論する金融審議会のワーキング・グループ(WG)では、この状況が重要な論点となっていた。

9月に開催された会合では、委員の岩下直行教授(京都大学、元日本銀行金融研究所)が、国内IEO案件のほぼ全てが公募価格を下回る壊滅的な実績を持つ商品を、一般国民向けの投資対象として金商法の枠組みで扱うことについて、「正気の沙汰とは思えない」と厳しく指摘していた。

FPLは、THE YELLOW MONKEYやGLAYといった人気アーティストが参加し、Web3技術を活用して新たなファン体験を創出するプロジェクトとして、高い事前人気を集めていた。
上場初日の価格動向は厳しい結果となっているが、同日に稼働を開始したマーケットプレイスでの利用といった実需が今後の価格を支えることになるのかー、その推移に注目していく。
|文:栃山直樹
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