メタプラネットは11月13日、2025年12月期第3四半期(2025年1月1日~9月30日)の連結決算を発表した。保有するビットコイン(BTC)の価格上昇に伴う評価益を計上したことで、前年同期の赤字から大幅な黒字へと転換した。
当第3四半期累計期間の売上高は45億1700万円(前年同期比1702.1%増)、営業利益は27億4800万円(前年同期は1億8300万円の損失)となった。
損益の主な変動要因は営業外収益であり、ビットコイン評価益として206億4400万円を計上した。これにより、経常利益は232億2900万円、親会社株主に帰属する四半期純利益は135億2800万円を記録し、いずれも前年同期の損失から黒字に転じている。
同社は「ビットコイントレジャリー企業」としてビットコインの蓄積を継続しており、2025年9月末時点での保有量は30,823BTCに達した。これは、中間決算期末である6月末時点の13,350BTCから3カ月で2倍以上に増加したことを示す。
ただし、決算期末後の10月以降、同社の戦略には変化が見られる。
9月の大規模な増資が株価の希薄化懸念を招き株価が下落、時価総額が保有BTCの価値を下回る状況に陥った。
これを受け、同社は10月28日に新たな資本配分方針を策定。最大750億円規模の自己株式取得枠と、保有BTCを担保とする最大5億ドルの融資枠契約を発表した。
これは、株式発行中心の資金調達から、株主還元や資産活用による機動的な財務戦略への転換を示唆しており、実際に、10月1日から本日までに新たなビットコインの取得は発表されていない。
なお、決算発表と同日の11月13日、ブルームバーグは日本取引所グループ(JPX)が、暗号資産を事業の中核に据える「暗号資産トレジャリー企業」に対して規制強化を検討していると報じた。
報道によると、JPXは不適切な合併(いわゆる裏口上場)へのルール厳格化や新たな監査義務の導入などを検討しているとされ、その背景には関連企業の株価急落が指摘されているという。
この報道を受け、メタプラネットは同日、「本日の一部報道について」と題するリリースを発表した。
その中で、投資家保護やガバナンス強化を目的とした規制の議論は世界的な流れであり、「必然的かつ健全な動き」と認識していると表明。
現在、当局から規制措置や調査を受けている事実はないとした上で、同社はこれまでも専門家と連携し、株主総会の承認を含む適法かつ透明性の高いプロセスで事業転換を進めてきたと強調した。
|文:栃山直樹
|画像:同社ウェブサイトから(キャプチャ)


