- イーサリアムは11月14日、前日の高値3565ドルから3060ドルまで14%下落し、ここ1週間の反発分をすべて帳消しにした。
- 10月下旬以降、米国のイーサリアム現物ETF(上場投資信託)から14億ドル超の純流出が発生して下落圧力を増幅。月間アクティブアドレス数とネットワーク活動による手数料収入は大幅に減少した。グラスノード(Glassnode)によれば、長期保有者の売却ペースは2021年以来の最高水準に加速している。
- 米連邦準備制度理事会(FRB)のタカ派姿勢が12月の利下げ期待を損ない、暗号資産(仮想通貨)全体の弱気相場を誘発した。
イーサリアム(ETH)は、11月13日から14日にかけて10%以上急落した。ビットコイン(BTC)が10万ドルを割り込むなど、暗号資産市場全体の下落も加速した。
時価総額第2位の暗号資産であるイーサリアムは、13日の3565ドルから14日午前には3060ドルまで急落し、ここ1週間の反発分をすべて帳消しにした。当記事執筆時点では、3200ドルをわずかに下回る水準で安定しているが、過去24時間で依然として約8%安となっている。
この動きは、株式や債券が暗号資産と並んで下落した、米国市場の広範な低迷と一致した。解消したばかりの米国政府閉鎖は、流動性状況に悪影響を及ぼした。さらに、12月の会合でFRBが金利を据え置く可能性が高まっていることも、圧力に拍車をかけている。
ファーサイド・インベスターズ(Farside Investors)のデータによると、10月下旬の会合で、ジェローム・パウエルFRB議長が、ほぼ満場一致で予想されていた12月の利下げに冷水を浴びせて以来、米国上場イーサリアム現物ETFは、14億ドル(約2160億円、1ドル=155円換算)の純流出を記録した。13日の約2億6000万ドルの流出は、ここ1カ月で最大の単日流出額となった。
さらに、長期保有者も売却に動いている。グラスノードのブロックチェーンデータによると、保有期間3~10年の長期保有者は、90日移動平均で1日当たり約4万5000ETH(現在の価格で約1億4000万ドル)と売却を加速しており、これは2021年2月以来の最高水準のペースである。

ブロックチェーンデータは、ファンダメンタルズの悪化も示唆している。トークン・ターミナル(Token Terminal)のデータによれば、ネットワーク上の月間アクティブアドレス数は9月の900万超から820万に減少。過去1カ月の取引手数料は42%急落し、わずか2700万ドルとなった。
注視すべき主要なテクニカル水準
イーサリアムは3325ドルの重要な支持線を割り込み、ロウワーハイ(高値切り下げ)が続く明確な下降トレンドを形成したと、CoinDesk Researchのテクニカル分析モデルが示唆した。
- 支持線/抵抗線:主要支持線は3080ドル、二次的な支持線は3050ドルと2880ドル。主要抵抗線は3330ドル(旧支持線)、3500ドル(主要ピボット)、3650ドル(下降チャネル高値)で形成。
- 出来高分析:3325ドル割れ時に出来高は64万1103でピーク(24時間平均比71%増)。その後出来高は7日間平均の80%まで低下し、売り疲れを示唆。
- チャートパターン:イーサリアムは4月の上昇チャネルをブレイクし、ロウワーハイを伴う弱気構造を形成。3077ドル~3146ドルの調整レンジは底値圏形成を示唆。
- 目標値とリスク/リワード:3050ドル支持線を割り込むと2880ドルまで下落リスク。上昇基調回復には3563ドル奪還が必要。3500ドルを明確に突破すれば、3650ドル~3800ドルが目標。
|翻訳・編集:山口晶子
|画像:11月14日のイーサリアムの値動き(CoinDesk)
|原文:Ether Tumbles 8% as ETFs Bleed Over $1.4B, Long-Term Holders Sell


