- ジェフリーズ（Jefferies）は、ステーブルコイン発行企業のテザー（Tether）がここ数カ月間で相当な量の金を購入し、供給を逼迫させ、センチメントに影響を与えていると指摘した。
- ジェフリーズは、テザー社が現在少なくとも116トンを保有していると推定している。これは、世界の中央銀行以外の保有者の中では最大級である。
- USDTの継続的な成長、利益の増加、およびテザー社の金を支持する姿勢のために、購入量を高く維持する可能性があると、ジェフリーズのレポートは述べた。
投資銀行ジェフリーズは、金価格の最近の急騰は、伝統的な要因だけでは説明できないとし、テザー社が主要な新しい購入者であると指摘した。
ジェフリーズは11月20日発表のレポートで、保証報告書のデータとオンチェーン活動は、テザー社が最近数カ月間で相当な量の金を蓄積し、供給を逼迫し、急激な価格高騰を促進していることを示していると述べた。
金は今年、50%以上値上がりしており、現在は1オンスあたり約4080ドルで取引されている。
ジェフリーズは、昨年秋にテザー社が米コロラド州デンバーでマイナーやロイヤルティ企業と会談した後に、同社の金に対する関心を初めて指摘した。投資家らはジェフリーズに対し、テザー社が今年、約100トンを購入することを目指していると語った。
CEOのパオロ・アルドイノ（Paolo Ardoino）氏による準備金への金追加に関する公的発言と、1オンスあたり1000ドルもの価格急騰が、この見解を裏付ける材料となった。
アンドリュー・モス（Andrew Moss）氏が率いるジェフリーズのアナリストらは、テザー社が第3四半期の終わりに少なくとも116トンの金を保有し、12トン（約15億7000万ドル相当）が同社のテザーゴールド（XAUT）トークンを、約104トン（約136億7000万ドル相当）がUSDTを裏付けていると推定した。これにより、テザー社は世界最大の非政府系保有者となり、小規模国家の中央銀行に匹敵する。
CoinMarketCapによると、テザーゴールドは現在、時価総額が約15億ドル（約2400億円、1ドル＝157円換算）である。
第3四半期だけで、世界の需要の約2%に相当する約26トンと、蓄積のペースが際立っていると、アナリストらは指摘した。中央銀行のフローを圧倒するほどではないが、テザー社の買いは短期的な供給を逼迫させ、強気のセンチメントを高めた可能性が高い。
ジェフリーズのレポートによると、USDTの成長が続き、金が総準備金の約7％を占め続ける中、テザー社は蓄積を継続すると予想される。アルドイノ氏が2025年に150億ドルの利益を予測していることから、ジェフリーズのアナリストらは、利益の半分を金に投入するだけでも年間約60トンが追加されると試算した。
レポートは、テザー社が計画する米国のジーニアス（GENIUS）法準拠のステーブルコイン「USAT」は金準備を必要としないため、USDTと金需要への長期的な影響は不透明だと指摘した。
アナリストらはまた、テザー社が金関連エコシステム全体で投資を拡大している点を指摘した。今年だけでロイヤルティ、およびストリーミング企業に3億ドル以上を投入している。
ジェフリーズはこうした出資を、より広範な金属戦略のさらなる証拠と見る。HSBCの金属トレーダー2名を最近採用した動きは、テザー社の金を推進する姿勢が落ち着くのではなく、加速していることを示唆している。
｜翻訳・編集：山口晶子
｜画像：CoinDesk
｜原文：Tether’s Gold Hoard Surges to 116 Tons, Rivals Small Central Banks
