- ビットコインの価格は8万5000ドルを下回り、過去1カ月では20%以上の下落を記録した。
- 市場は、長期間休眠状態だったウォレットから取引所へ大量のコインが移動していることで圧迫されている。
- デリバティブとオプションのデータは、トレーダーがさらなる下落を見込んでポジションを取っていることを示しており、プットオプションがコールオプションよりも優勢となっている。
香港時間の10月21日朝、ビットコイン(BTC)は下落を拡大し8万5000ドルを下回った。CoinDeskのデータが示す通り、市場は新たな売り圧力と世界的な金利予想の変化を吸収した。
この下落により、BTCは過去24時間で8%以上、過去1カ月では20%以上下落した。これは株式市場の下落率を上回るもので、エヌビディア(Nvidia)の堅調な決算がAI(人工知能)バブル懸念を払拭したため、株式市場は比較的堅調さを保っている。

テレグラムで公開されたレポートで、マーケットメイカーのフローデスク(FlowDesk)は、長期間休眠していたビットコインウォレットから中央集権型取引所へ大量のコインが流入し続けている状況下で市場が苦戦を続けていると指摘した。数万単位のコインが数年ぶりに動き出しているという。
こうした資金移動が買い注文を圧倒し、現物市場の活動は売り手側に決定的に偏った状態が続いている。同社はさらに、運用担当者が年末に向けて防御的なポジション構築を進めており、新規投資よりも利益確定に注力しているため、主要な支持水準での流動性が低下していると付け加えた。
フローデスクはまた、デリバティブ市場の動向も現物市場の弱さを反映していると指摘した。BTCとイーサリアム(ETH)の大口の買いが下落局面で活発化し、ボラティリティ曲線がプット側に大きく傾いた状態が続く中、トレーダーはプットポジションを縮小して保護を維持している。
デリビット(Deribit)のオプションデータも同様のセンチメント転換を示しており、CoinDeskが以前報じた通り、かつて支配的だった14万ドルのコールオプションは、8万5000ドルのプットオプションに追い抜かれた。トレーダーがさらなる下落に備えてポジション調整する中、8万5000ドルはビットコインオプション市場全体で最大の建玉残高を持つ行使価格となった。
市場の下落が続く中、BTCの価格がストラテジー(Strategy)の損益分岐点である7万4430ドルに接近するにつれ、注目は同社の株に集まっている。
JPモルガン(JPMorgan)は最近のレポートで、同社の株式のパフォーマンス低迷は、1月のMSCI指数からの除外の可能性に対する懸念の高まりを反映していると指摘した。この決定は数十億ドル規模の受動的な資金流出を引き起こし、すでに脆弱な暗号資産市場にさらなるストレス要因となる可能性がある。
|翻訳:CoinDesk JAPAN
|編集:井上俊彦
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|原文:BTC Falls Toward Mid-$80Ks as Market Structure Weakens Into Year-End


