- ビットマイン・イマージョン(BitMine Immersion)は、暗号資産(仮想通貨)価格の急落により、保有するイーサリアムで巨額の未実現損失を抱えている。
- 同社は2025年度に3億2800万ドルの利益を計上したが、構造的な課題に直面していると、10xリサーチ(10x Research)のマーカス・ティーレン(Markus Thielen)氏は警告した。
- ティーレン氏は、「高額な報酬、低調なETHステーキング利回り、NAVプレミアムの消失が継続する中、投資家は不透明でコストのかかる構造に閉じ込められる可能性がある」と述べた。
ウォール街のベテラン、トーマス・リー(Thomas Lee)氏が率いる最大のイーサリアム(ETH)特化型デジタル資産トレジャリー(DAT)企業であるビットマイン・イマージョンは、イーサリアムへの大規模な投資により、巨額の未実現損失を抱えている。
同社は11月21日、8月31日終了の会計年度で3億2800万ドル(約510億円、1ドル=157円換算)の純利益を報告し、完全希薄化後1株当たり利益は13.39ドルとなった。
また、1株当たり0.01ドルの名目配当を発表し、2026年初頭にステーキングインフラ製品「MAVAN(Made-in America Validator Network)」を立ち上げる計画を明らかにした。
好調な決算報告にもかかわらず、10xリサーチの創設者マーカス・ティーレン氏は、同社を含むDAT企業が深刻な構造的問題に直面していると警告した。
8月のピーク時からイーサリアム価格が45%下落した結果、ビットマインの保有資産には現在、40億ドルを超える未実現損失が発生していると推定される。
ビットマインの株価は7月のピークから84%急落し、この下落により、かつて投資家の熱狂を煽った純資産価値(NAV)プレミアムが消滅したと、ティーレン氏は指摘した。
ティーレン氏は、多くのDAT企業がアセットマネージャー、戦略アドバイザー、高額報酬の宣伝役といった複雑で階層化された組織構造に依存しつつ、「静かにリターンを蝕む」手数料を組み込んでいると主張した。
ティーレン氏によると、ビットマインの経営陣と外部アドバイザーは、報酬と顧問契約を通じて、年間1億5700万ドルを10年間にわたって獲得する可能性がある。
イーサリアムのステーキング利回り(保有暗号資産に対する主要な収益源)は、投資家にとって魅力的とは言えないと、ティーレン氏は指摘。
コンポジット・イーサ・ステーキング・レート(Cmposite Ether Staking Rate:CESR)によると、現在の利回りは約2.9%で、リスクフリーと見なされる米ドルマネーマーケットファンドの利回りを大幅に下回っている。
運営コストと仲介手数料を考慮すると、株主への実質利回りはさらに低くなると、ティーレン氏は述べた。
「プロの機関投資家がこの利回りを容認することはない」とティーレン氏は指摘。特に、イーサリアムの「価格のボラティリティが担保資産を常にリスクにさらす」状況ではなおさらだと強調した。
ティーレン氏は、特に純資産価値(NAV)プレミアムが崩壊する中で、DATが株主を閉じ込める可能性があると警告した。
「投資家は構造に閉じ込められ、重大な損害を受けずには脱出できない。まさに、『ホテル・カリフォルニア』的な状況だ」と、ティーレン氏は述べた。
|翻訳・編集:山口晶子
|画像:ファンドストラット・キャピタルの共同創業者兼CIOで、ビットマイン会長のトーマス・リー氏(CoinDesk)
|原文:BitMine Immersion Sitting on $4B Loss on Ether Bet as Analyst Warns of Structural issues


