- ビットコインの11月の下落は、主に米国取引時間中に発生しており、他の暗号資産(仮想通貨)よりもハイテク株に近い動きを示している。
- ビットコインは米取引時間には約30%下落した一方、アジア・欧州取引時間では比較的安定、または小幅安で推移した。
- 市場のボラティリティは米金融政策への懸念に起因し、ビットコインとハイテク株の双方が米連邦準備制度理事会(FRB)の行動予想の影響を受けている。
ビットコイン(BTC)の11月の下落は、米取引時間に集中する傾向が強まっており、暗号資産というより、ハイベータのハイテク株の代替として取引されていることを示唆している。
アンバーデータ(Amberdata)の取引時間帯別データによると、過去1カ月間で地域別の顕著な差が確認される。米国時間帯で下落のほぼすべてが発生し、累積リターンは約30%近く下落した。同期間のアジア取引時間はほぼ横ばい、欧州は小幅な下落にとどまった。
このパターンは、11月を通じて一貫している。ビットコインはアジア取引時間中は横ばい、欧州取引時間移行時に小幅に軟化、米国株式市場開場後に下落の大半が発生している。
このタイミングは、メガキャップテック株にかかるストレスと一致している。FRB利下げに関する疑念の高まり、AI資本的支出の膨張、ディフェンシブセクターへの資金シフトにより、メガキャップテックセクターの評価額は圧迫されている。

「ビットコインは常に、米国テック株と高い相関関係を持って取引されてきた」と、キャピタルドットコム(Capital.com)のシニアマーケットアナリスト、カイル・ロダ(Kyle Rodda)氏は指摘し、次のように述べた。
「どちらもリスク資産であり、米国の金融政策に対する予想に大きく影響される。個人投資家の関与が強く、勢いや資金の流れの影響を大きく受け、高いレバレッジで取引される可能性がある」。
「大局的に見れば、最近の市場変動はFRBが12月に利下げせず、2026年にも従来予想ほど大幅な利下げを行わないとの懸念が背景にある。ハイテク株もビットコインも、その影響を受けるだろう」と、ロダ氏は付け加えた。
ビットコインを流動性に敏感なリスク資産としてモデル化するファンドが動きを牽引しているようだ。ETFへの資金流入は停滞し、今月の米取引時間では、主要な現物商品で純流出が複数回発生した。
CME先物の建玉残高も減少しており、米取引時間中のデレバレッジを示唆している。これらの取引時間帯は機関投資家にとって現物・デリバティブ双方で最も流動性が高く、価格発見機能がほぼ完全にこの時間帯に移行したことで、日中の値動きが拡大している。
地域間の乖離は過去の調整局面と比べて顕著だ。FTX崩壊時や2022年の信用収縮時でさえ、売り圧力はタイムゾーン間でより均等に分散していた。
テック株が安定するか、ETF資金流入が回復しない限り、ビットコインは米時間のリズムに縛られた状態が続く。そしてそれが、引き続き市場全体の基調を決定づけている。
|翻訳・編集:山口晶子
|画像:Shutterstock
|原文:U.S. Hours Account for Nearly All of Bitcoin’s November Losses


