DeFiの550億ドル急落を、心配し過ぎなくてよい理由
  • 10月初旬以降、イーサリアム(ETH)の38%や、AAVEやLDOなどの主要なDeFi(分散型金融)トークンによる40~50%など、暗号資産(仮想通貨)市場全体の下落に比べれば、TVL(預かり資産)に見られた30.9%の減少は小規模である。
  • TVLの減少の大部分は、資産価格の下落によるものであり、流出によるものではない。DeFiは2023年後半以降、高値と安値を切り上げ続けている。
  • オンチェーンの動向は依然として堅調で、2025年のDEX取引量は急増し、AaveのTVLは市場全体の下落にもかかわらず昨年の倍増となった。

分散型金融(DeFi)セクターは、10月初旬以降、TVLが550億ドル(約8.6兆円、1ドル=156円換算)減少し、1780億ドル(約27兆円)から1230億ドル(約19兆円)に落とした。この数字は、一見すると利回りを追求する者やトレーダーを不安にさせるかもしれない。しかし、この急落は、見かけほど深刻なものではない。

DeFiの主要指標は30.9%の下落を示しており、これは市場参加者の減少や市場の冷え込みを示唆している可能性がある。しかし、この下落幅は、同時期の市場全体の下落幅よりも実際には小さいものである。

DeFi TVL (DefiLlama)
DeFi TVL (DefiLlama)

DeFiの主要資産であるイーサリアムは38%下落し、AAVEやLDOといった主要なガバナンストークンはそれぞれ40%と50%下落している。

この乖離は重要なものだ。DeFiのTVLに見られる縮小は、大規模な資本流出ではなく、主に資産価格の下落によって引き起こされていることを示しているからだ。トークン価格が下落すると、ユーザーが資金を引き出していなくても、ロックされた資産のドル建て価値は減少する。これはTVLの分析では見落とされがちな微妙な点である。

DeFiの複数年にわたるチャートをより広く見ると、この点がさらに明確になる。2023年後半以降、このセクターは明確な上昇トレンドを維持しており、高値と安値を切り上げている。 1,070億ドル、1,420億ドル、1,780億ドルのピークの後、800億ドル、890億ドル、そして現在は1230億ドルの谷間を辿り、依然として以前のサイクルの安値を大きく上回っている。これは、市場が崩壊しているのではなく、冷えているという考えを裏付ける。

一方、エコシステム内の動向は、より回復力のある状況を示している。DefiLlamaのデータによると、デジタル資産トレジャリー(DAT)への流入は10月のピークから鈍化しているものの、分散型取引所(DEX)の取引量は2025年を通じて急増している。現地時間11月1日から26日までの間に、DEXでは3600億ドル(約56兆円)の取引が行われ、6月の月間総額3320億ドル(約52兆円)を既に上回った。

主要なレンディングプロトコルも堅調に推移している。AaveのTVLは320億ドル(約5兆円)で、市場全体に見られる最近の下落にもかかわらず、1年前のほぼ2倍となっている。

550億ドルという数字からは、業界が苦境に陥っているというイメージを受けるかもしれながいが、実際には、DeFiの今サイクルの成長は非常に安定しており、慎重なものであった。これは、TVLが130億ドルから2100億ドルに上昇した後、数か月後に600億ドル未満に急落した2021年のサイクルとは対照的だ。

こうした緩やかな成長は、このセクターが成熟期にあり、以前のサイクルとは異なり、市場の低迷の影響を受けないことを示唆している。

|翻訳・編集:T.Minamoto
|画像:Shutterstock
|原文:DeFi’s $55B Plunge Isn’t the Disaster It Looks Like

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