- キャンターフィッツジェラルド（Cantor Fitzgerald）は、ストラテジー（Strategy）の12カ月目標株価を229ドルに引き下げたが、同株に対する「オーバーウェイト」評価は維持した。
- みずほは、ストラテジーがビットコイン売却を回避するための重要な動きとして、同社の強固な現金準備と優先株への移行を強調した。
ストラテジー株の急落を受けて、キャンターフィッツジェラルドのブレット・ノブローチ（Brett Knoblauch）氏は、同社株の12カ月目標株価を560ドルから229ドルに引き下げた。ビットコイン（BTC）に関連した資金調達のための環境悪化を理由としている。
新目標値は現行価格180ドルから約30％の上昇余地を示唆しており、ノブローチ氏は「オーバーウェイト」評価を維持した。
ストラテジーは普通株、優先株、転換社債発行による資金調達と、その資金でビットコインを追加購入するビジネスモデルを構築。このフライホイール効果は2020年の初めてのビットコイン購入以降、驚異的なリターンを生み出し、長年機能してきた。
しかし過去1年間、投資家はビットコイン保有高に対するストラテジー株のプレミアム評価を控えめにしている。ビットコインの低迷した価格動向と相まって、ストラテジー株は2024年末のピーク時から約70％下落した。
現在、キャンターが算出するストラテジーの完全調整後市場純資産価値（mNAV）はわずか1.18倍と、依然としてプレミアムではあるが、過去の高水準からは低下している。これにより、同社エグゼクティブ・チェアマンのマイケル・セイラー（Michael Saylor）氏らは、普通株の希薄化を伴う可能性のある資金調達手段を制限されている。
ノブローチ氏はこのため、ストラテジーの年間資本市場調達額予測を225億ドル（約3兆4900億円、1ドル＝155円換算）から78億ドルに大幅に下方修正した。
ストラテジーのトレジャリー運用に割り当てられた価値、つまり資金調達とビットコイン購入によって獲得可能な潜在的な上昇幅は、1株当たり364ドルからわずか74ドルに下落した。
それでもノブローチ氏は、ストラテジーを見限ってはいない。「これはビットコイン価格の下落とマルチプルの低下の両方が要因だ」と、ノブローチ氏は12月5日発表のリサーチノートで指摘した。
ノブローチ氏は現在の市場を逆風と捉えているが、オーバーウェイトの評価は、ビットコイン価格が回復し、投資家のレバレッジ投資への意欲が戻れば、この戦略が再び機能するという、ノブローチ氏の確信を示している。
この見解は、ストラテジーの短期的な財務状況についてより楽観的な見解を示したみずほによっても繰り返されている。14億4000万ドルの株式増資を経て、ストラテジーは優先株の配当を21カ月間カバーできるだけの十分な現金準備を構築した。
アナリストのダン・ドレフ（Dan Dolev）氏とアレクサンダー・ジェンキンズ（Alexander Jenkins）氏は、これによりストラテジーは、ビットコインを売却することなく、そのポジションを維持する柔軟性を得たと述べている。
みずほが最近主催したイベントで、ストラテジーCFOのアンドルー・カン（Andrew Kang）氏は、今後の資金調達について慎重な姿勢を示した。
カン氏は、2028年の最初の満期前に転換社債の借り換えを行う予定はないと述べている。その代わりに、優先株式に依存し、ビットコインの保有を維持しながら資本へのアクセスを確保する方針だ。
また、カン氏は、同社のmNAVが1を上回った場合、つまり市場が再び同社のビットコインへのエクスポージャーをプレミアムで評価した場合にのみ、新たな株式の発行を行うことを明らかにした。
それが実現せず、資金調達が困難になった場合、ビットコインの売却が最終手段として検討される可能性がある。
ストラテジーは、2022年の対応を参考にしているようだ。当時同社は、市場低迷時にビットコイン購入を一時停止し、状況改善後に再開した。アナリストは、忍耐強く流動性を維持するこの戦略が、現在の低迷期を乗り切る助けになると指摘している。
｜翻訳・編集：山口晶子
｜画像：ストラテジーのエグゼクティブ・チェアマン、マイケル・セイラー氏（CoinDesk）
｜原文：Strategy Stock Still a Buy at Cantor After Plunge Forces Major Price Target Cut
