- ブラックロック(BlackRock)のビットコインETF(上場投資信託)は、過去5週間で27億ドル超の交換が発生し、上場以来最大の資金流出サイクルを記録した。
- iシェアーズ・ビットコイン・トラスト(iShares Bitcoin Trust:IBIT)は6週連続の資金流出が確実視されており、10月の下落以降に暗号資産(仮想通貨)市場全体で生じているポジション調整の動きを反映している。
- ビットコインが9万2000ドル台前半まで回復したにもかかわらず、機関投資家の資金流入はマイナスが続いており、これは構造的な撤退というより新規資本配分の鈍化を示唆している。
ブラックロックの主力ビットコイン(BTC)現物ETFは、上場以来最大の交換サイクルに直面しており、年末に向けて機関投資家の資金流出が続く中、過去5週間で27億ドル(約4200億円、1ドル=155円換算)以上が引き出された。
ブルームバーグのデータによると、ビットコインが史上最高値を更新した時期に710億ドル規模に膨張したiシェアーズ・ビットコイン・トラスト(IBIT)は、11月28日までに5週連続の資金流出を記録した。
12月4日にも1億1300万ドルが流出しており、同ファンドは6週連続の流出となる見込みで、これは2024年初頭の運用開始以来最長の連続流出となる。

この資金流出は、10月の清算ショック以降に見られる暗号資産ポジションの広範なシフトを反映している。この時、レバレッジ取引の清算によりデジタル資産時価総額が1兆ドル以上消失し、ビットコインは明確な弱気相場に突入した。
IBITは今年前半、機関投資家資金流入の最大の単一経路だったが、ボーナスシーズンを控えファンドマネージャーがエクスポージャーを削減し、マクロ経済の不確実性が高まる中、買い圧力は逆転した。
ビットコインは今週、9万2000ドル台前半まで回復したものの、資金流入は依然としてマイナス。アナリストはこの点が、「短期的な価格動向より方向性判断において重要」と指摘した。
グラスノード(Glassnode)は、「流出サイクルは10月までのビットコイン上昇を支えた着実な蓄積体制からの明確な転換点」とし、現在の傾向を「構造的な撤退ではなく、新規資本配分の冷え込み」と表現した。
ビットコインは10月初旬に記録した史上最高値から約27%下落したままであり、IBITの資金流入データは米国全体の需要を測る指標として、ますます注目されている。
|翻訳・編集:山口晶子
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|原文:BlackRock’s IBIT Faces Record Outflow Run as Bitcoin Struggles to Reclaim Bull Trend


