ビットコイン、8万6000ドルまで反落──CPI鈍化を受けた上昇分を失う
  • この弱気相場ではもはや日常茶飯事となっているが、暗号資産(仮想通貨)市場は短時間で、大幅な上昇から大幅な下落へと急変した。
  • ビットコインは米国時間12月18日朝、予想を大幅に下回る米消費者物価指数(CPI)の発表を受け、米連邦準備制度理事会(FRB)による金融緩和への期待が高まったことで、8万9000ドルを突破した。
  • 株式市場は18日も堅調な上昇を維持し、2025年のパターンに従って暗号資産を上回るパフォーマンスを継続している。

暗号資産市場は12月18日も再び乱高下を続け、序盤の大幅な上昇分が極めて短時間で完全に逆転し、強気派を失望させた。

17日の数分間とは対照的に、数時間にわたって発生した18日の反落だが、下落幅はほぼ同規模で、ビットコイン(BTC)はセッション高値8万9300ドルから8万5500ドルまで急落した。

当記事執筆時点では、ビットコインは8万6000ドルで取引されており、過去24時間で0.8%下落している。ナスダックはセッション高値から約2%下落したものの、依然として1.7%の上昇で大きくリードしている。

序盤での上昇は、予想を大幅に下回る11月の米消費者物価指数(CPI)報告と並んで発生した。総合インフレ率は、9月の前年比3%上昇から、2.7%上昇まで急落した。

このデータを受け、1月の米連邦準備制度理事会(FRB)による追加利下げを予想する声が早くも上がった。他の条件が変わらなければ、利下げは暗号資産を含むリスク資産にとっては、プラス材料となる傾向がある。

しかし、懐疑派は直ちに外れ値となったインフレ数値に飛びついた。「10月の家賃/帰属家賃(OER)をゼロ計上したことが主要な問題だ」と、著名なエコノミストOmair Sharif(オマール・シャリフ)氏は指摘した。労働統計局(BLS)が修正しない限り、4月まで前年比CPI数値が人為的に押し下げられると、シャリフ氏は続けた。

「これはまったく許しがたい」と、ウォール・ストリート・ジャーナルのNick Timiraos(ニック・ティミラオス)氏も主張し、「BLSは10月の家賃/OERをゼロと仮定しただけだ…これが良い判断となる世界など存在しない」と続けた。

現時点では、市場は懐疑派の見解に同意しているようで、1月の利下げ確率はそれまでの24%という低い数字のままで動いていない。

BTCはレンジ相場、ETHはヘッジ傾向

暗号資産オプション市場のトレーダーは、見込みを調整しているようだ。ウィンターミュート(Wintermute)のデータによると、ビットコインとイーサリアム(ETH)では、相反するセンチメントが示されている。

ビットコインオプションの動向はレンジ相場観を示唆しており、トレーダーは8万5000ドル割れの下方保護を売却し続け、10万ドル超の上方エクスポージャーを抑制している。

この動きは、「支持線維持への確信と、短期的な持続的ブレイクアウトへの期待が限定的であることを示唆している」と、ウィンターミュートのOTC取引デスクはレポートで主張した。

対照的に、イーサリアムオプションは確信に欠け、ヘッジ行動が目立つ。2700ドル〜2800ドル付近で支持線が形成されつつあるが、3100ドル超の上昇コールオプションは積極的に売り込まれており、トレーダーが上昇リスクよりも下落リスクからの保護を求めていることを示唆している。

|翻訳・編集:山口晶子
|画像:12月18日のビットコインの値動き(CoinDesk)
|原文:Bitcoin bulls foiled again as price tumbles back to $86,000, giving up CPI gains and more

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