本物を証明──NBAスター選手のジャージ、イーサリアムブロックチェーンでオークション

NBAのサクラメント・キングス(Sacramento Kings)は、ブロックチェーンベースのマーケットプレイスを使って、1月15日(現地時間)に行われたダラス・マーベリックス(Dallas Marvericks)戦でバディ・ヒールド(Buddy Hield)選手が着用していたジャージのオークションを行った。


イーサリアム・スタートアップのコンセンシス(ConsenSys)と提携しているキングスは1月15日、サプライチェーン向け製品のトレウム(Treum)で運営されたイーサリアムベースのプラットフォームを使って、チームの記念品をライブ・オークションで販売すると述べた。プラットフォームは、記念品の履歴を検証するために使われ、オークションはNBAの試合中から試合後にかけて行われた。

プラットフォームは、販売されるすべてのアイテムが本物であることを保証するとトレウムの共同創業者タイラー・ムルビヒル(Tyler Mulvihill)氏は述べた。

「我々はこれまでに何度も、今回と同じ問題に直面してきた。これはジャージで、本物で、試合で着用された。それをどうやって確かめますか? 我々はこうした問題をすべて解決するためにキングスと提携している」

ムルヒビル氏は、プラットフォームはファンの体験を高めることが目的で、現在は熱心なファンのうち、比較的少ない人数の人たちだけが試合を観戦しに行くことができると指摘した。

「すぐに何かリアルなことができ、熱気を加えることができるアプリケーションを作りたかった」とコンセンシスのビジネス開発責任者ブラッドリー・ファインスタイン(Bradley Feinstein)氏は語った。

ファンは「試合にライブで参加することができる。そして究極的にファンに検証可能な証拠を伴って参加できる体験を与えたかった。オークションで手に入れようとしているものは本物だということを(ファンは)理解することができる」

バディ・ヒールド選手のゲーム・ジャージのオークションがうまくいけば、この先のオークションは次のように進行する。すなわち、地元での試合中、キングスのファンはチームの選手が着用したウェアに入札できる。オークションは試合開始直前から、午後11時59分(太平洋標準時)まで行われ、全アイテムはトレウム上で本物であることが証明され、記録される。試合、シーズン、選手、時間を詳細に記録したデータを含むデジタルトークンがアイテムの所有権の証拠となり、アイテムのオーナーによって保有される。

ヒールド選手のジャージのオークションの収益は、2019年のハリケーン・ドリアンの被害者支援に使われる(ヒールド選手は被害を受けたバハマで育った)。今後のオークションの収益は、サクラメント・キングス財団が受け取る。

キングスのCTO(最高技術責任者)ライアン・モントヤ(Ryan Montoya)氏は、今回の取り組みはキングスのブロックチェーンに関する最新の取り組みに過ぎないと述べ、キングスは2014年からビットコインを受け入れ、ブロックチェーンベースの他のファン体験製品を提供していることに触れた。

コンセンシスを「仮想通貨業界のアンドリーセン・ホロウィッツ」と呼ぶモントヤ氏は、新しいオークション・プラットフォームは「企業や経済を変革させる」と語った。

「我々はその一部となり、それをファンと分かち合いたい」

NBAはチームの記念品を厳格に管理しているとキングスのイノベーション&eスポーツ担当ディレクター、イアン・ウィート(Ian Wheat)氏は語った。キングスはアイテムが市場に持ち込まれる方法についての透明性を高め、流通市場において本物であることを検証する試みの一環として、ブロックチェーンを使うことを選択した。

翻訳:山口晶子
編集:増田隆幸
写真:Buddy Hield image courtesy of ConsenSys
原文:NBA Team Auctioning Basketball Star’s Jersey on Ethereum Blockchain