あなたがデジタル資産を「手にする」のはいつか──米当局の見解

米商品先物取引委員会(CFTC)は2020年3月22日(現地時間)、「デジタル資産の実際の受渡し」に関する最終ガイダンスを発表し、仮想通貨がある当事者から別の当事者へといつ「譲渡された」と言うことができるのかという、長く続く疑問に終止符を打った。

CFTCは、同委員会の見解では「実際の受渡し」は取引から28日が経過した日の終わりまでに、顧客が資産に対する完全な支配を行い、提供者が資産に対する支配を失う時に発生すると定める、35ページの文書を発表した。ガイダンスは、数年間にわたる取引所やその他利害関係者による公開のフィードバックを経て発表された。

同文書によれば、CFTCは3月23日(現地時間)に草案を承認した。

「実際の受渡し」をどのように定義するかは、長らく結論のでない問題であった。法律事務所ステップトー&ジョンソン(Steptos & Johnson)は2016年、取引法違反の疑いを巡って仮想通貨取引所のビットフィネックス(Bitfinex)とCFTCが和解した後に、CFTCに申し立てを行なっていた。

この裁判では、マージン取引に関連する資金を受渡した後に、ビットフィネックスが仮想通貨の秘密鍵を管理し続けており、資金は実際には受渡されていなかったとCFTCが申し立てたことに端を発する。裁判はビットフィネックスが7万5000ドル(約837万円)を支払って和解に持ち込まれた。

それから間もなく同法律事務所は申し立てを行い、和解においては「実際の受渡し」がどういうものなのかについてはっきりとしなかったと主張した。この申し立てでは、カストディの定義が不透明で、それは仮想通貨業界にとって有害となる可能性があると主張された。

今回のガイダンスによって、そのようなグレーエリアの一部が明確になるかもしれない。

「しかしCFTCは、デジタル資産、および一部の事例では、その元となるパブリック分散型台帳技術の進化する性質を鑑み、はっきりとした定義を定めることは意図していない」と文書には記されている。

ヒース・ターバート(Heath Tarbert)CFTC委員長は声明の中で、企業が新しいガイダンスを遵守しようとする中、「市場の混乱の可能性を防ぐ」ために、受渡し違反の可能性に関しては、これから90日間、CFTCは執行行為を行わないと述べた。

ガイダンスによれば、CFTCは次の場合に「実際の受渡し」が起こったと定義する。

「(1)顧客が以下を確保した時:(i)マージンで、もしくはレバレッジを利用して、あるいはその他のいかなる金融上の取り決めによって、コモディティのすべての所有と支配を確保、そして(ii)取引から28日よりも遅れることなく、その後はいつでも、コモディティのすべてを(特定のいかなる実行の場からも離れて)商業において自由に利用する能力を確保し、そして

(2)提供者とカンターパーティーの売り手(それらの関連会社や、提供者あるいはカウンターパーティーの売り手に同様の関係で協働する別の者)は、取引の日から28日が経過した時点で、マージン、もしくはレバレッジ、あるいはその他の金融上の取り決めによって購入されたコモディティに対する利害、法的権利、支配を持たない」

翻訳:山口晶子
編集:T. Minamoto
写真:CFTC Chairman Heath Tarbert image via CoinDesk archives
原文:The CFTC Just Defined What ‘Actual Delivery’ of Crypto Should Look Like