ステーブルコインの時価総額、1兆円超──米ドル連動通貨テザーがけん引

ステーブルコインの時価総額、1兆円超──米ドル連動通貨テザーがけん引


ステーブルコインの資産価値はわずか2カ月で70%以上増加し、5月12日には100億ドル(約1兆700億円)を超えた。コイン・メトリックス(Coin Metrics)のデータで明らかになった。

ステーブルコインの供給量の増加は、多くの暗号資産(仮想通貨)トレーダーが、ビットコインではなくステーブルコインを使ってアルトコインを取り引きしていることが要因となっているようだ。

ステーブルコインとのペアでの取引が急増

ステーブルコインの成長のほとんどはテザー(USDT)によるもので、供給量全体のほぼ90%を占めている。

コインゲッコー(CoinGecko)によると、最も大きな取引高を持つテザー市場は、アジアに拠点を置く2つの取引所──バイナンス(Binance)とフォビ(Huobi)──だ。この2つの取引所は200近くの暗号資産に対応しており、アルトコイン・トレーダーにとって魅力的な取引所となっている。

ほぼすべての取引所では、ドルとのペア、あるいはビットコインとのペアでアルトコインを扱っており、ドル、あるいはビットコインを使ってアルトコインの価格を決める。

アルトコイン・トレーダーは歴史的にビットコイン、あるいはイーサリアムをアルトコインのペア通貨として好んで使ってきた。しかしこの2年でその傾向は大きく変わった。今、彼らはほとんど、ステーブルコインとのペアで取引を行っている。

ビットコイン(BTC)とのペア、テザー(USDT)とのペアによる取引高推移(BTC/USDTは除く)
出典:Nomics

ノミックス(Nomics)のデータによると、ステーブルコインとのペアの取引の増加は、アルトコイン取引高の大幅な増加と一致している。ただし増加には、イーサリアムおよびビットコインとのペアは含まれておらず、両者は2017年後半に記録した高い取引高を下回った状態が概ね続いている。

ビットコイン(BTC)、イーサリアム(ETH)、テザー(USDT)とのペアの取引高(BTC/USDT、ETH/USDTを除く)
出典:Nomics

メリットはステーブルコインの安定性

あるアナリストによると、ドルに裏付けられたステーブルコインの安定性がペア通貨としてビットコインを使うことに勝る大きなメリットだ。

「ステーブルコインは常に、その内在的な価格安定性のために、取引ペアとしてビットコインよりも優位であり続けている」とブレイブ・ニュー・コイン(Brave New Coin)の暗号資産市場アナリスト、アディトヤ・ダス(Aditya Das)氏は述べた。

「安定性は、トレーダーがより安心して保有し、取引の流動性ツールとして使えることを意味している」

暗号資産スポット市場におけるステーブルコインのペア通貨としての需要は、デリバティブ商品にも影響を与えている。

例えば、未決済の建玉で2番目に大きな暗号資産デリバティブ市場のビットメックス(BitMEX)は、ステーブルコイン建ての取引商品に対するより多くの需要の変化をしっかりと認識している。

「我々は、アルトコイン取引における主流が、ビットコインベースのポロニエックス(Poloniex)から、USDやテザー(USDT)ベースのバイナンスやコインベース(Coinbase)に移行するなかで、トレーダーはUSDなどとのペアで取引することをより好んでいることを認識している」とビットメックスの事業開発責任者、グレッグ・ドワイヤー(Greg Dwyer)氏は語った。

2020年はじめ、ビットメックスは2つの新しい先物商品をローンチした。とちらもUSDがペア通貨となっている。

「ステーブルコインとペアになった取引に対する需要の高まりは、私にとって完全に理に適っている」とバイナンスUSのキャサリン・コーリー(Catherine Coley)CEOは語った。

「2017年の強気市場の前とその最中には、ビットコイン界の大物はビットコインとのペアで取引していた」

しかし新しい世代のトレーダーや投資家は「ドルで考え、ステーブルコインで取引する」とコーリーCEOは述べた。

翻訳:山口晶子
編集:増田隆幸
写真:Shutterstock
原文:Stablecoin Supply Breaks $10B as Traders Demand Dollars Over Bitcoin

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