ビットコインから分裂した暗号資産、年初からのパフォーマンスがBTCを上回る

ビットコイン(BTC)は2020年、ゴールドやS&P500種株価指数を上回るパフォーマンスを見せているが、データによると、ビットコインからフォーク(分裂)した暗号資産(仮想通貨)は、さらに高いパフォーマンスをあげている。

暗号資産データ企業メッサーリ(Messari)のデータによると、ビットコインフォーク(ビットコインから分裂して生まれた暗号資産)の時価総額トップ3は、ビットコインキャッシュ(BCH)、ビットコインSV(BSV)、ビットコインゴールド(BTG)。

トレーディングビュー(TradingView)のデータを使ってビットコインを含めた4つの暗号資産の均等加重インデックスを見ると、年初からのパフォーマンスはビットコイン単独と比べて約14倍となっている。2019年の始めからでは、ビットコインを435ポイント上回っている。

出典:TradingView

個別に見ると年初以来、ビットコインSVは61ポイント、ビットコインゴールドは37ポイント、ビットコインを上回った。ビットコインキャッシュは、5月まではビットコインを上回っていたが、現在はビットコインを11ポイント下回っている。

出典:TradingView

ビットコインとは劇的な違い

こうしたパフォーマンスに驚いていないアナリストもいる。時価総額があまり大きくない暗号資産は「市場全体が強気相場のときには、ビットコインよりもパフォーマンスが良くなる傾向がある」と話すのは、リサーチ企業ブレイブ・ニュー・コイン(Brave New Coin)のアナリスト、アディトヤ・ダス(Aditya Das)氏。

同氏によると、同じような傾向は2017年の強気市場のときにも見られた。ビットコインやビットコインフォークは2020年、半減期を迎えたが、一部の投資家にとっては強気要因となっている。

多くの場合そうであるように、より大きなリターンは大きなリスクを伴う。流動性はそうした懸念の1つとダス氏は述べた。

データ企業ノミックス(Nomics)によると、取引高で業界トップ2の取引所であるバイナンス(Binance)とビットフィネックス(Bitfinex)のみが、トップ3のビットコインフォークすべてに対応している。さらにバイナンスではビットコインキャッシュのスポット市場の規模は、ビットコイン市場のわずか10分の1に過ぎない。

ブルームバーグ(Bloomberg)の元株式アナリストで、デジタル資産リサーチ企業デルファイ・デジタル(Delphi Digital)の共同創業者、ケビン・ケリー(Kevin Kelly)氏は、ビットコインキャッシュやビットコインSVのようなビットコインフォークは「純粋に投機のために使われているようだ」と述べた。

さらに、ビットコインフォークの「流動性と長期的な価値提案」は「存在するとしても、ビットコインとは劇的に違っている」と話した。

翻訳:山口晶子
編集:増田隆幸、佐藤茂
写真:Shutterstock
原文:Bitcoin’s Forks Have Trounced Bitcoin This Year