米ブロックチェーンベンチャー、コロナ危機で緊急融資を申請──75社以上が総額30億円超

75社以上のブロックチェーンおよび暗号資産(仮想通貨)業界の企業が、少なくとも3000万ドル(約32億円)の緊急融資をアメリカ政府から獲得した。

米中小企業庁(SBA)は7月6日、給与保護プログラム(PPP)で融資を受けた企業を公開した。リストには、ジーキャッシュ(Zcash)の開発企業Electric Coin Company、イーサリアムベンチャーのコンセンシス(ConsenSys)、さらにポリチェーン・キャピタル(Polychain Capital)やアンチェーンド・キャピタル(Unchained Capital)などの暗号資産VCも名を連ねている。

新型コロナウイルスの感染拡大を受けてトランプ政権がスタートさせた給与保護プログラム(PPP)は、進行中の経済危機における給与支払いを支援するもの。3月以降、アメリカでは約4400万人が失業保険を申請しているが、PPPは解雇を防ぐためのものだ。

ユーザーの間には議論も?

ブロックチェーンスタートアップへの融資は暗号資産ユーザーの間に議論を巻き起こしているかもしれない。暗号資産のルーツは政府や銀行に不信感を抱き、自由主義を標榜したサイファーパンク運動にあるからだ(よく知られているようにビットコインの生みの親サトシ・ナカモトは、最初のブロックに銀行救済策についての新聞の見出しを埋め込んだ)。

米中小企業庁が公表した各社の情報には、受け取った金額の範囲(具体的な金額は公表されていない)と、融資を行った銀行名が記載されていた。

ブロックチェーン・暗号資産業界の主な企業は以下のとおり。

  • コンセンシス(ConsenSys):500万〜1000万ドル
  • 暗号資産取引所ビットトレックス(Bittrex):100万〜200万ドル
  • 暗号資産セキュリティ企業サイファートレース(CipherTrace):35万〜100万ドル
  • カルダノの開発企業IOHK USA LLC:35万〜100万ドル
  • ポリチェーン・キャピタル(Polychain Capital):35万〜100万ドル
  • ジーキャッシュ(Zcash)の開発企業Electric Coin Company:35万〜100万ドル
  • セキュリティトークンを手がけるトークンソフト(TokenSoft):35万〜100万ドル
  • ウォレット開発企業MyCrypto:15万〜35万ドル
  • ウォレット開発企業MyEtherWallet:15万〜35万ドル
  • Digital Assets Data:35万ドル〜100万ドル
  • BTCMiner:15万ドル〜35万ドル
  • アンチェーンド・キャピタル(Unchained Capital):15万ドル〜35万ドル
  • Voyager Digital Holdings:35万ドル〜200万ドル
  • 分散型ID企業Civic Technologies:35万ドル〜100万ドル
  • 暗号資産取引所ビットフライヤー(bitFlyer)の米国法人bitFlyer USA:15万ドル〜35万ドル
  • 暗号資産デリバティブを手がけるLedgerXを運営するLedger Holdings:15万ドル〜35万ドル

翻訳:CoinDesk Japan編集部
編集:増田隆幸、佐藤茂
画像:中小企業庁長官に任命されたジョビタ・カランザ氏(Tia Dufour/White House/Small Business Administration)
原文:ConsenSys, Polychain, Tron, CipherTrace: Blockchain Startups Got $30M+ in US ‘PPP’ Bailout Loans