元オバマ政権高官が取り組む「イーサリアムゲームの痛点」を解決するサービス

元オバマ政権高官が取り組む「イーサリアムゲームの痛点」を解決するサービス

Brady Dale
公開日:2019年 4月 8日 11:00
更新日:2019年 4月 8日 11:00

元オバマ政権高官が共同創業者に名を連ねるスタートアップ、オフチェーン・ラボ(Offchain Labs)は、シードラウンドで370万ドル(約4億1210万円)の資金調達に成功した。

投資ラウンドを主導したのは、パンテラ・キャピタル(Pantera Capital)で、VCのコンパウンド(Compound)なども参加した。

オフチェーン・ラボの共同創業者、エド・フェルテン(Ed Felten)氏は、プリンストン大学でコンピューター科学の教授を務め、前オバマ政権の副最高技術責任者(CTO)でもあった。そんなフェルテン氏によると、ソフトウエア・アズ・ア・サービス(SaaS)スタートアップである同社は、エンタープライズ利用における「スマートコントラクトのスケーリング(規模拡大)」に専念していく。

「我々は現在、プライベートチェーン、エンタープライズ向けソリューション、そしてゲーム分野に注力しています」と同氏は語っている。「我々の現行製品はイーサリアム上でレイヤー2として稼働していますが、イーサリアムそのものとも相互性があります」とも。

2017年にイーサリアムのネットワークは、デジタル猫収集アプリ「クリプトキティ(CryptoKitties)」にひもづいたトランザクションであふれかえった際、過度な負荷がかかり、短時間でパンクした。フェルトン氏によると、イーサリアムのスケーリング状況はその時から劇的には改善していない。これは、オフチェーン・ラボのような、この進化していくインフラにスケーリング・ソリューションとなる新たなレイヤーを構築できる企業にとっては絶好のチャンスだ。

「オンチェーン手数料、イーサリアムの場合「ガス代」は、分散型アプリ(DApp)のストレージや処理が必要なコードが増えるのに比例して上昇します」と同氏は述べている。「これは、開発できるゲームの複雑さや性能を制限します」とも。

この問題を解決するために同社は実験的なアプローチを取っている。

同社の創業チームは、スティーブン・ゴールドフェダー(Steven Goldfeder)氏などの学者で構成されている。ゴールドフェダー氏は、プリンストン大学で使用されている、ビットコインおよび仮想通貨についての教科書の共同著者で、コーネル・テック大学院の博士研究員でもある。

「我々は、スマートコントラクトにかかるコストを、その信用性や信頼性を落とさずに、下げられると考えています」とフェルテン氏は述べている。

コストの削減

潤沢な資金を持ちながら、ブロックチェーン関連のSaaSを提供しているスタートアップが最低でも6社ほど存在している中、オフチェーン・ラボのシステムは、最も低価格なモデルを提供することで差別化を図るつもりだとフェルテン氏は述べている。

コンセンシス(ConsenSys)からスピンアウトし、現在シリーズA投資ラウンドを実施しているスタートアップ、ブロックアップ(BlockApps)は、顧客と共同開発している製品を概念実証段階から生産段階に進めつつある。ブロックアップのように、オフチェーン・ラボも、顧客がネットワークのバリデータを選択できるような、産業固有のネットワークを立ち上げることを計画している。

オフチェーン・ラボのアルファリリースは、今年の夏かつ7月1日よりも前になる予定で、リリース後から見込み顧客の呼び込みを開始できるとフェルテン氏は述べている。

「その他多くの企業も明らかに同様のゴールを目指しています」と同氏は語った。ブロックチェーンに興味を持つ企業は多くないが、それら企業を狙って、SaaSスタートアップ間に激しい競争があることを同氏は認めている。

別の競合企業として、スウェーデンのSaaSスタートアップ、クローマウェイ(Chromaway)が挙げられる。同社CEO、Or Perelman氏によると、同社は昨年後半、アーリントンXRPキャピタル(Arrington XRP Capita)とネオ・グローバル・キャピタル(Neo Global Capital)が参加した「プライベートトークンセール」で1100万ドルの資金調達に成功した。また同社はライトコイン創設者のチャーリー・リー(Charlie Lee)氏のような大物をビジネスアドバイザーとして迎えている。

オフチェーン・ラボの出資者であるパンテラ・キャピタルの共同創業者、ジョーイー・クルッグ(Joey Krug)氏は、この競争が激しい市場を踏まえたうえで、オフチェーン・ラボはクローマウェイのようなモデルと比較して、分散型取引所に明確な利点を提供すると述べている。クローマウェイのモデルは、ネットワークを運営するために、一部の参加者やバリデータにトークンを投じることを要求する。

「トレーダーたちはそれをためらうでしょう」とクルッグ氏は語る。「そして、彼は『なぜ取引に必要な分よりも多い資本を投じなくてはならないのだろうか?』と疑問に思うでしょう。オフチェーン・ラボは確かに素晴らしいチームを持ってますし、基本的なものは全て備えていますが、1番の差別化ポイントは、必要資本が少なくて済むことです」

クルッグ氏はオフチェーンが2019年に行うアルファリリースは、イーサリアムベースのゲームアプリに重点を置くと考えている。リリース後は、ユーザーのフィードバックをもとに調整を加えていく予定だとも。

「今年、初期メインネットなどが世に出されることにわくわくしています。また、2020年までにこのネットワークを利用した、幅広い種類のアプリが開発されることを期待しています」

翻訳:Yuta Machida
編集:佐藤茂、浦上早苗
写真:Offchain co-founders image courtesy of Offchain Labs / Misha Rodionov. (Left to right) Ed Felten, Steven Goldfeder and Harry Kalodner
原文:Former Obama Tech Officer Raises $3.7 Million for Blockchain SaaS Startup